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「プレシャス」感想(3)。

また続きです。

そんでもって、すごいのは、このプレシャスのおかーさんで、おとーさんもたいがいな人ですが、もうどっかに行ってしまって、母子家庭で生活保護うけてるんですが、この二人の生活がなんかもう、悪夢のようにようわからん。
映画が下手だからわからんのではなく、そのように描いているのです。多分、虐待とかそういう悲惨なことの起こってる現場って、家庭でも職場でも学校でも皆こうなんでしょうね。わかりやすい図式じゃない。絵に描いたような地獄じゃない。何だかよくわからんから、被害者は逃げも抵抗もできず、加害者はやめられず、第三者は手を出せない。そういう、なにこれ珍百景みたいな世界が展開している。

うまいというか、リアルというか、わーと言いたくなるというか、この家、猫が何匹もいるのよなー。それがまた、栄養状態もよく清潔で健康そうだし、見るからに落ちついてて、全然びくびくしてもいない。これも映画の失敗じゃなく、計算の上だと思うけど、ペットがそこそこ幸福にちゃんと暮らせてる家なんですよ。
壁に絵なんかもかけてあるし、一応ふつうの生活にみえる。はっきり言って、私やキャラママの家の方が汚いしちらかってる(笑)。
まー、生活保護うけてるから、カウンセラーとかのチェックも入るから、きちんとしとかなきゃいけないのかもしれないけど。

そう言えば、あれ見て「だから生活保護なんて百害あって一利なしなんだ!」と目くじらたてる人もいるだろうけど、でもプレシャスを救ってくれるのも、そういう福祉制度の一環の人たちであり組織なんだよなー。
そういう人たちの、これまたまっとうな前向きさが、それによって救われて、それに応えて成長するプレシャスの姿とあいまって、映画をすごく明るく力強くしている。
その一人、レイン先生を演じた女優さんはきれいなんだけど、どこかしぐさや表情が投げやりでけだるくて崩れているのも、すごくこれまたカッコいい。いいことをする時は、こういう雰囲気でこんな風にするという一つのモデルだな、これ(笑)。先生してたら、ちょっとまねしてみたくなるかも。

話を戻すけど、それでプレシャスの母子家庭は、何て言ったらいいのかなあ、もう。えいまた、もう一回切るか。

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カツジ猫