「小津久足紀行集(1)」が出ました!
◎つい、!をつけてしまった。(笑)
出したのは私じゃありません。皇學館大學神道研究所というところから、神道資料叢刊の十四として出されています。私は著者の一人にいただいたのですが、これは一般の方は買えるのかなあ。ネットで見たら、一応同じシリーズの既刊のが買えそうだから、これも大丈夫とは思うのですが、どうなんだろうか。
うれしいことに(1)となっていて、久足の紀行が次々紹介されそうな気配。最初に書いた「よしのの山づと」はじめ「花染日記」「花鳥日記」「残楓日記」の四つが入っています。
青い布表紙に金文字のすっきり瀟洒な本で、大きさも重さも大変手ごろで持ちやすく、活字もきれいです。もちろん翻刻もしっかり信頼できるし、最初の高倉一紀先生の解説もわかりやすくて面白い。
それにしても家人のために書いた書で、「金持ちとは仲よくし、おちぶれた人には近寄るな」だの、「金さえあれば人はしたがう。財産を守れ、人ににくまれてもいい。財産がなかったら、人にうとまれる。にくまれてもいいが、うとまれるな」とか、まあ書くわ書くわ。実にリアルな人だったんですね。その一方で、権力に接近したり恩恵を受けたりするのも断固拒否している。徹底した商人の哲学がある。
紀行の方は私がまだ読んでいなかった「よしのの山づと」が、まるで普通の歌日記で、これと言って特徴もないのに驚きました。この10年ほど後の「花染日記」では、もうしっかり久足紀行になっているんですが、この間何があったんだろう。(笑)
近世紀行としては珍しく、芭蕉のことも書いていて、幻住庵にわざわざ訪ねて行って、あれこれ考察してる。ながめがあまりよくない所で、普通だったら、もっと遠くが見える景色のいい場所に住むだろうが、木々に囲まれた何も見えない場所に住んで瞑想にふけったのだろう、さすがは芭蕉、とか感心しているが、あれは許六か誰かの持っていた家で、初めから場所なんか選べなかったのじゃなかったっけか。(笑)墓にも行って、芭蕉のことをほめちぎっている。さすが蔵書家で読書家、目配りが行きとどいてる。
その他いろいろな記事が、例によって面白い。
どんどん続けて出してほしいなあ。こうやって江戸の紀行が活字になって行くのはうれしいし、特に私が江戸紀行の代表とまで持ちあげた久足の作品が、こうやって、多くの人に読めるかたちになるのが、本当にありがたい。
◎今日は夕方、お客さんが来た。カツジ猫は逃げもせず、まんまるい目をして、ぶっといしっぽをふりまわして、つきまとっていた。昨日またブラシをかけてやったので、ふわふわきれいになっている。そろそろまた、写真をとってやらないと。
◎じゅうばこさん
二つの人気映画を重ねてぶったぎる感想、笑って拝見しました。じわじわ戦後が消えて行く流れの中に、こういう映画も生れて来るのでしょうね。