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「阪急電車」の悪口(2)。

まー、(2)までつけて言うことかよって話もあるけどな(笑)。

あ、前置きの追加。近場では「ラプンツェル」のアニメ映画で、もーこれでもかって笑いたいぐらい、的確にお見事に描きつくされてた悪役の魔女ゴーテル、私はけっこう好きだったんですが、2ちゃんねるその他の映画評で、それこそもう、けっこうまじめに「いい人なんじゃないか」「ラプンツェルを愛してるんじゃないか」って解釈が登場検討議論されてたのには、もーあーた、腰が抜け、笑う以前に不安になった。あそこまで完膚なきまでに、悪役として描かれた人物像のどこからどこをどうしたら、ラプンツェルへの「優しさ」や「愛」を感じられるんじゃい。

彼女のたくらみで、ラプンツェルが恋人に裏切られたと絶望し、ゴーテルのもとに戻るとき、いとも優しげに両手を広げてむかえ入れる、あのしぐさと表情なんて、文字通り「よっ! お見事!」と、かけ声かけたいぐらいの悪の権化の晴れ姿と思うのに、あそこで「母の優しさ」を感じる人もいるときちゃ、いったい世の中どうなってるんだ、つまりは、あーいうあからさますぎる「悪」の描写まで、「優しさ」としか見えない人たちがそんなに普通に、そのへんに生きてんのかと思っただけで、私は何だか道を横切るのも恐くなるんだがなー。

あ、まあいい。また前置きが長過ぎてる。
えーと、もう「阪急電車」のヒロインの翔子さんの話から手っ取り早く入ってしまおう。(以下ネタばれです。)

彼女はしっかり者のOLで、結婚式の直前に後輩の多分トロい女の子から婚約者の彼氏を奪われる。後輩は彼の子を妊娠し、彼はそんな彼女を見捨てられず、結婚を決意し翔子を捨てる。「おまえは強い女だから大丈夫だろう。泣いたりもしないし」みたいなことを面と向かって翔子は言われる。
怒った彼女は、了解するかわりに結婚式に呼んでと二人に注文をつけ、花嫁無視の純白のドレスで式に出席する。そうやって彼に失った女の美しさを見せつけ、二人の結婚式の思い出を自分のことを思い出させて不快なものにしようと思い、それは成功する。しかし彼女も傷つき、帰りの電車の中で涙を流す。

あらためて、こうして書くと、はーもう、翔子さんの行為って伝染するよな。こんなこと書いている私がまさに、やらんでもいいこと、やってもしょーもないこと、彼女が結婚式に乗りこんでぶちこわしにしたのと同じことをやってるみたいな気になってくる。そんなこと、するまでもなく、書くまでもなく、こんな行為の何もかもが、あほらしすぎて、関わったら自分が汚れる、言っちゃなんだがバカがうつるという気持ちがしんしんとしてくる。ま、いいか。のりかかった船だ。

えー、とにかくもういろいろ、死ぬほどしょーもないことの数々を書く。私がこうやって、パソコン打つのもたいがいバカで不毛な作業だが、まあそれほど時間も労力もかかるわけではない(そうか?)。また翔子さんが、話を聞かされて激怒して、喫茶店で煮えくりかえったコーヒーを二人の顔にぶちまけたというなら、まーそんなこともあるかもしれんと思ってもいい。私も彼女だったらまあ、そのくらいのことは、ひょっとしたらするかもしれない。

しかし、花嫁を霞ませるほどの純白の衣装をそろえ、アクセサリーから靴からバッグからそろえ、髪をセットし化粧をし、どれもそう安っぽいものでは効果が出ないから、それなりに真剣にとりくんで、ひょっとしたら花嫁以上に労力や神経を使うかもしれないのだが、そんなのが数時間ですむはずもなく、下手したら数日かかるはずで、その間ずっと、たかが「二人にいやな思い出を作り、彼に自分のすばらしさを思い知らせる」ぐらいの情熱で、その集中力を維持できるもんだろうか。

人間はたいがい非常識なことも恐ろしいことも計画し実行するが、それを支えるのは、完全に狂気の執念でなかったら、何がしかどこか前向きの情熱で、誰かへの深い愛情とか、社会的な正義感である場合が多い。殺された子どもの復讐とか、そう言ったような。それは人間を強くして、少々非常識な愚かな行動にもかりたてるし、計画をつづけさせる。「告白」の少年が、母への愛を求めたように。

だが、翔子さんは決して狂気の人ではなく、むしろきわめて健全でしっかり者でまっとうな人だ。そんな人が一時の逆上ならともかく、数日もかけて、こんな不毛で誰も救わない計画に没頭するようなパワーとエネルギーをどこから得るのだ。
実のところ、彼女ほどの美貌と勝算があれば、ああいうことは私も一回ぐらいはちょっとやってみたい気もする。そういう人は多いと思う。だが、悪い冗談で無責任な遊びでやるのならともかく、一応真剣にとりくむとしたら、こんな計画を支える情熱は、あんな脆弱な理由ではどう考えても無理だ。

あはは。とまんないなあ。(3)行くか。

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カツジ猫