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「風、薫る」妄想

「ばけばけ」の続きで、ついつい見ている朝ドラ「風、薫る」だけど、ネットでちらちら見る評判では、二人のヒロインの話が同時進行なので頭に入りにくいとかの批判もあって、評判がいいのか悪いのかよくわからない。たしかに「ばけばけ」や「虎つば」とは、どこか雰囲気がちがう。でも、別のドラマだから、それはあたりまえで、文句言ってもしょうがなかろうと思いつつ、適当に見ていた。

ただ、たしかに、どこか見ていて同化できない、感情移入がしにくい、近づこうとしても妙につるんと冷たく閉ざされ拒否される、という感触はあって、最近では、その味わいが面白くなってしまって、はまりそうで困っている(笑)。

別に肩入れもしてないから、特に関連記事も読んでないし、もしかしたら大まちがいの解釈になるのかもしれないし、他の人の感想とは大違いになるかもしれないけど、ただもう私の受ける印象ってことで。

筋はテンポがいいし、俳優は皆うまいし、それぞれきれいで魅力的だし、ちっとも悪いとこはないのに、なぜか全然ヒロイン二人が好きになれない。これはマイナスの印象じゃなくて、ひょっとしたら、そこがいいんじゃないかと最近思い出した。

以下はもう、ほんとに私の勝手すぎる上にわが身に引きつけた解釈で、今後がらがらと崩れ去る分析かも知れないんだけど、この二人、どっちも、ものすごく私をイライラさせ、恐がらせる。こっちの方が「ばけばけ」じゃないかと思うくらいだ。

没落して不幸とは言え、士族の末裔で家老の娘りんは、もう骨身にしみついたような、虫の良さと甘ったれとわがままと図々しさがある。一見全然そう見えないでしょ。それがすごい。父の死にしても夫婦生活にしても、ものすごくけなげに対応してるし、芯は強いし我慢強いし健気だし。
 でも、ちっとも哀れっぽくない。無理をしているとか耐えてるとかいう痛々しさが見えないし伝わらない。これは演技や脚本が下手なんじゃない。りんって、そういう、ものすごく鈍感で無神経で図々しいところがある。妙にものおじしないで、人の懐に飛び込むし、人のことを気にかけない。これって、エリート、貴族、恵まれた者のいやらしさ、残酷さなんですよ。パンがなければケーキを食べればと言った話はデマらしいけど、マリー・アントワネットって、こういう人だったんじゃないでしょうか。

一方の直美さんは、これまた、孤児で教会の前に捨てられた最低の親ガチャの典型なんだけど、たとえばそういう最低のどん底に生きる人にしばしばあるような、優しさや温かさがまるっきりない。いや、ないことはないだろうけど、それ以上にとことん強い。自分の恵まれなさを知り抜いていて、嘆いたりする前に、そこから抜け出すために全力をつくし、時に手段を選ばない。
 彼女を支えて守ってくれたキリスト教の人たちは、多分多くがエリートで恵まれた、そしてりんとちがって、そういう自分たちに満足しなかった敬虔さがある。そんなものを直美は持たない。経歴詐称が問題にされる都知事や市長もいたけど、そして海外の小説なんかじゃしょっちゅうそういうことする人も登場するけど、そんなの気にするのがアホらしくなるぐらい、いけしゃあしゃあと彼女は嘘をつき、のし上がる。プライドは高いけど良心はない。努力は死ぬほどするけれど、不正をはたらくことに抵抗はない。捨てられたことを恨まない代わり、自分も人をふみにじり捨て裏切ることを恥とは思わない。「レ・ミゼラブル」ならテナルディエ夫妻と同じ人種です。りんと反対に、この人の強さは、最底辺の庶民の強さです。ゴキブリ以上の生命力。はびこりつづける雑草。

すごいのは、こういう化け物のお二人を、そういう怪物とは気づかせずに、一応かわいそうな気の毒な存在のようにも見せて、きわどくいい人に見せてることです。でも、見てたら絶対好きになれない。気味が悪いし、恐い。かわいそうでも、気の毒でも、支えてやりたい存在でもない。

でも、誰の中にも、実はこの二人がいる。家族でも社会でも職場でも恋愛でも、私たちの誰もが、恵まれた者の残酷さと、恵まれない者のえげつなさを持っている。それがなければ生きられない。どこかで絶対私たちは、この二人のどちらかになるし両方になる。

私はどっちかというと、りんでしょうね。のほほんと気づかずに人を傷つけ、ふみつけて来た。直美のようには、なかなかなれない。めったになれない。なったらおしまいと思っている。でも、なる時はきっとなる。そっちもほぼ確信がある。

視聴者がヒロインに感情移入できないはずだ。他人や自分の醜さを、毎回目の前に突きつけられるんだから。でも多分それがこのドラマの、一番すばらしいところだ。今後どうなるかは見当もつかないが、ぶつかりあいや体験の中で、二人がそれぞれの図々しさや、一見強さに見える弱さを、どう変化させて行くのかが、気になってならない。

さてと、話は全然変わるが、今日固定資産税の通知が来て、細かく見るのが面倒だったから、封筒のまんま銀行に持って行って、引き落としの分の確認や、窓口での支払い分をすませて来た。

順番を待ってた間に、近くの席に座っていたおばさんが、私の手にした封筒を見て、奥さんも税金を払いに来られたのかと聞いてきた。その人も同じ封筒を持っていた。税金は取られるばっかし、物価は上がるばっかしですねえと言い合っていたら、おばさん(というか私と同じぐらいのおばあさんで、ごく普通の方だった)が「自民党が悪い」と言い出し、どちらからともなく「高市さんが悪い」「憲法を変えて戦争をしようとしている」「早くやめさせないと」「とにかく自民党はいけない」「小泉さんもよくない」「お父さんはまだよかったが、あの人はただのぼんぼんで何もできない」などなどと、まわりに人もいるのに、けっこう大声で話がとまらなくなって、おばあさんの順番が来て呼ばれるまで盛り上がった。

周囲からも別に舌打ちとか聞こえなかったし、反感よりも共感の雰囲気を感じたのは気のせいかしら(笑)。銀行のフロアで、こんな会話ができるというのも、なかなかけっこうなことだ。

帰って授業の準備をしながら、テレビをつけっぱなしにしていたら、楽天に二連敗したホークスが、大量得点で勝っていた。大津投手が快投し、柳田選手がホームランを打って、二人がヒーローインタビューでお立ち台に立っていた。中継が途中で終わったので、中身は聞けなかったが、後でファンサイトを見たら、

柳田HR談話
変化球しばいてやろうと思ってて。
スライダーギューンって来たからバチーン!って。
エグい角度で飛んでオッシャー!です。

大津
北九州の皆さんの温かい応援が力になりました。
第二のホーム球場で思い入れのある球場です。
連敗ストップ出来て安心しました。連勝目指します!

 

何がとは言わないが落差ひどいw

 という書き込みがあって、笑えた。
 ちなみに柳田選手三十八歳、大津投手二十七歳。
 
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カツジ猫