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あっという間に夜になる

朝、カーテンを開けたら、庭の金網の前の棚に長くなって寝ている猫のカツジと目があった。しめた、あいつが外にいる間に掃除機をかけようと思って、ちょっと何かして台所に行き、ふと見下ろしたら、いつの間にか戻って来ていて、床に座ってまんまるな目で見上げていた。あちゃーと思って結局掃除はあきらめた(笑)。

今日はいつも行っている近くのスーパーが閉店する日だった。いずれまた再開するらしいし、食品売り場は当面残るらしいので、さしあたりそう困らないが、二十年近くのつきあいだから、記念に何か買おうかなとも思ったが、アクセサリー売り場などでは、男性店員が張り切って野菜のたたき売りでもするかのように、「はい、またお買い上げ~」とかわめきつつ、指輪やネックレスを売っているので、何だか気が乗らなくて、そのまま帰って来た。

古紙や新聞紙の回収は続くとのことだが、プラスティックや食品トレイ、ペットボトルなどの回収は終わってしまったので、よそのスーパーかどっかの回収場所をさがさないといけない。いろいろ、しばらく大変かもな。

夜、涼しくなってから、資料のコピーにコンビニに行った。人も少ないから安心してゆっくりコピーをしていると、学生時代の昔から、全国各地の図書館や文庫をまわって、限られた予定の中の少ない時間で、せっせと資料のコピーをした日々が思い出されて楽しかった。でも、そのとたんに、そうやって集めた貴重な資料の大半が、今年の初めに、親切のつもりで人から破棄されたことを思い出して、突然めまいと吐き気がして、しばらくその場にじっとしていた。

いいことをしたと思って満足していた、その人たちから、こんなにきれいに処理したんですよと、ファイルを全部ばらして、資料をはずして廃棄して解体した、そのあとのファイルの綴じ金具を取っておいて束にしてあるのを見せられた。両手いっぱいに握れるほどの大変な数で、まるで殺された肉親の耳や髪の毛や骨を渡されたようだった。
私はその金具をまだ一本も捨てきれずに全部とっている。もしかしたら、死ぬまで捨てられないかもしれない。

もっとひどいことが、いくらでも世の中にはある。思い出すたびに、いつもそう言い聞かせて自分の心を落ち着けて来た。それでも、こうやって油断しているときに、押し寄せる思い出に襲いかかられると、抵抗するのが難しい。そのことで誰も憎まずに恨まずにいようとすると、それにともなって、自分や他人を愛する心も消えてしまう。
本当にたまらない。いつになっても、この気持ちが変わることなどないとわかっているだけに。

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カツジ猫