あとひとつだけ。
◇朝からゴミを出すついでに、上の家の前庭の黄水仙がよく見えるように、枯れたカンナを刈り込んだり草を取ったりしていたら、三毛猫シナモンの墓のそばに突き刺していた、去年のお正月に飾った柳の枝から薄緑色の芽が出ているのを発見。すごい、うれしい。
これって、正月の飾り用に金ぴかに塗られた柳を、ずっと花瓶にさしていたら、金色の枝から芽が出始めて、わー、ゴールドフィンガーに金粉塗られて殺された美女よか強いよと感動して、庭にさしてみたんですが、そのあとやっぱり枯れてしまったみたいで、無理だったかとあきらめていたのです。
育つだろうか。育つといいなあ。
前庭もまあ、まだ草だらけですが、ちょっとは見られるようになりました。ユキヤナギももう白い花をぼちぼちつけ始めています。
◇朝刊では高浜原発が稼働中のでは初めて、差し止めの判決。だって再稼働のしかたが、いろいろあんまりなめすぎてますからね。無理もない。
どんな基準を設けようと私は原発は稼働に反対ですが、そもそも何か厳しくしたかに見える「新基準」って、実は逆にゆるくなってる、という話を前に聞いたこともあるし、ほんとに、何かしたように見せかける、この手法にはいいかげんうんざりします。
動物だけでなく人間だって、原発事故で立ち入り禁止にならなかったら救えた人だっていたかもしれないんですよ。避難途中で亡くなられた方、その後自殺した方々は言うまでもなく。その方々に対しても、こんな再稼働のしかたでは、申し訳がなさすぎます。
現地だけでなく隣県の訴訟が認められたって点も注目されてました。私がいつも言うように、四国の伊方原発は四国の方よりむしろ対岸の大分県に近い場所です。何かあったら別府温泉、湯布院温泉、宇佐八幡、国東半島、皆影響なしではすまされません。海にバリアが張れるわけでもあるまいし、大分県のみならず、全国の八幡宮の関係者(宇佐八幡って一応全国何十万かの八幡宮の総本社ですよ。それが除染しなきゃならない事態になったら、どうでもいいけどほんとに神様たちから「日本死ね」とか言われるんじゃあるまいか）や温泉マニアの方々は、もっと深刻になってほしいです。
◇昨日の「母親の部屋がない間取り」について、あとひとつだけ。
うちにも母の部屋はない、という書きこみもあって、まあそれはそれぞれの事情もあるだろうし、いちがいには言えないと思うけど、あの間取りの話の中で、超いやなのは、家族のだんらんのために、リビングを皆が通るようにしていて、そこに母親が（夜中も）常駐していてほしい、という発想ですね。それ、母親でも父親でも誰でも、ぞっとします。そもそも人間をそんな風に使おうとする、見ようとする神経が、もう同じ空気を吸ってるのもいやなほど許せない。
結果としてそうなってる家もあると思うのよ。それがよいか悪いか、どんな結果になるかもわからないと思うよ。でも「理想的な間取り」を考える時に、はなからもう、何の抵抗もなく、人間をそういう風に使えるって考えが生まれることが慄然とする。執事でも小間使いでも女中でも奴隷でも、犬でも猫でも、そんな扱い方はされてないんじゃないですか。ほとんど「家畜人ヤプー」の肉便器水準の人間の考え方だよ。最低。というか異常。
このレポートに何の突っこみも入れてない指導者の准教授や、ネットの掲載にまでチェックを入れなかった周囲にも批判が集まってますが、私はもう感覚的に、そんなやつらのことは触れるのもいや、考えるのもおぞましい、私の怒りをぶつけるのさえ汚らわしいって感じなのよね。この若い学生に私がかみついているのは、まだどこかしら人間としてあきらめきれない、期待があるからなんですよ。これがおかしいと思わない周囲や教師や大学なんて、ほんともう皆、鎖でつないで、食器と毛布だけ与えて、コミュニティー広場か何かに常駐させておいてほしい。そのくらい不快です。犬小屋だって与えたくない。もちろん、それで、いつもにっこり機嫌よくしていてほしい。
◇私はときどき「昔のお金持ちとか貴族とかは、広大な屋敷に住んでいたわけだから、夫婦と言っても今の日本の住宅の基準で言ったら、三軒先か角の向こうの家に住んでるようなもので、いくらでも会わないで暮らせたわけだし、それと今の日本の夫婦や結婚を同じ風に考えてもねえ」と言って、たまに若い人から「そう言えばそうですね！」とやたらに感心されたりして、こっちが驚くのですが、実際「ダウントン・アビー」みたいな邸宅に夫婦でいたって、同じ町内にいる程度の距離感じゃないですか。孤独も自由もいくらでもまだ、工夫次第で手に入る。
逆に江戸時代の長屋とかなら、それはそれでちがった生活スタイルの中で、守り育てる人間関係も自我もある。
あの間取りのとっことん不愉快なのは、そしておそらくたいがいの不動産屋や住宅関係者の根底に巣食っている同じ意識は、中途半端にプライバシーを保障し、近代的な家族や人間関係を目指し、その中で、まあこの場合は母親ですけど、誰でもいい、誰かを徹底的に人間扱いしない、鉢植えのサボテンみたいにすることには何の疑いもためらいも持ってないってことですよ。このちぐはぐさ、支離滅裂さは、本当にただもう醜悪です。
「保育園を作ろう」という署名などもネットで行われていて、ここで紹介しようと思っている間に終わってしまったりしていますが、そういうところで本当に必死に子育てしてる母親たちを知れば知るほど、そんなにまでして育てて、こんな間取りをつきつけられたら、そういうお母さんたちは余裕で笑い飛ばしてしまいなさるのかもしれないけど、私だったら即もう離婚か自殺か子ども殺すか家に火をつけるだろうと、とっさに思ってしまいます。
ネットで紹介したいろんな方のツイッター、まだまだ他にもたくさんあるのですが、当面これだけ追加しておきます。まあできたら私としては、こんなくだらん間取りの話とつきあうのは、このへんで終わりにしたい。でも、こういうのってそれこそ女人禁制の場所を世界遺産にするのとか、慰安婦問題にちゃんと向き合わないのとか、そういうすべてとつながっているとは、つくづく思うのですけどね。
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