ある意味すごい一日。
◇今日街に用があって出かけようとして遅くなり、汗びっしょりだったので、大急ぎでシャワーを浴びてばたばた飛び出した。車をちょっと走らせて、あれ何かおかしいと思ったら、ブラジャーをつけ忘れてた。ちょっと迷ったが、やはりここで女を捨ててはいかんだろうと、とって返して電光石火で装着して飛び出したが、結局その時間のロスで、途中から乗るつもりだったバスに間に合わず、目的地まで車を飛ばした。安い駐車場が空いてたので、しめしめと思って乗り入れ、用をすませて自動精算機で清算して、はたと気づくと、隣りの隣の私の車とよく似たナンバーの車の分をまちがえて払っていた。しかたないからあらためて自分のも払って出たが、そのまちがえた車の人は安いのにびっくりしただろうなあ(笑)。
ナンバーも似ていたのだが、私の車はその名もシャンパングリーンという、悪くはないけど微妙な色で、光の加減で緑にも青にも灰色にも銀色にも見える。だから、あれそんな色?とちょっと思ったけど疑わず、おまけに料金がちょうどそれらしい値段になっていた。まあ、こんなことがあれこれ重なると、これもし私に娘か孫でもいた日には、「おかーさん認知症やん!」と食ってかかられてただろうなあ。
◇それにしても、ものすごく暑い。我慢できずに、とうとう夜に少しだけエアコンを冷房にして入れた。私は夏はわりとエアコンを入れず、だらだら汗を流しながら耐えるのを例年楽しみにしているのだが、今年は家の片づけという大事業があるので、少しは自分を甘やかすことにする。
その片づけは、だいたい家具の配置や各部屋のイメージなどの骨格はできたので、あとはひたすら荷物を片づけて行けばいいのだが、もう明日からは7月なので、勉強や原稿書きとも並行してやって行かなくてはならない。そう言いつつ昨夜なんか、大昔に作った古い人形の髪を毛糸でつけかえて、もう捨てるしかないかと思っていた叔母の下着で服を作って着せた。いったい私は何をしているのであろうか。
そして、この暑さのせいか、カツジ猫はいきなり毛が抜けだして、軽くすいても面白いように毛が取れる。もう一匹猫ができるんじゃないかというぐらい大きな毛玉がすぐできる。気持ちがいいのか、わりとされるままになっているが、だんだんいやになって来るらしく、いかなる猫の本でも、ここでやめておけと書いてあるような、いやがり方を始めるが、それでも私がやめられないで、押さえつけてブラシをかけるので、彼はとことん凶暴になる。今のところはまあ何とか、かみつかれずにすんでいる。
◇いいかげんに借りて来た「第一容疑者」というDVD、ヘレン・ミレンの警視が国家も敵に回して、犯人を追及するのがすさまじい。この犯人というのが、一見人畜無害に見えて、過去にセルビアあたりの紛争のときに、残虐行為をして、しかもその後、自分は第二の人生を築いて幸福になって、仲間を売って国家に保護されてとか、よく見てないとわからないが、もう終始一貫とことん自分のことしか考えてない人間として最低のクズである。ようこんな人間を造型したなと感心するようなキャラで、しかも外見はもちろん演技とかさえでもなく、その経歴で、それがわかるというのが、すごい。つまり、その事実の羅列を聞いて、この人のそういう本質がわからない人には、そんな悪人なのかなんて絶対何もわからないだろう。江戸時代の黄表紙じゃないが、見る人の理解力がなかったら、平気でおきっぱなしにする、意地悪いドラマだ。
こいつは貞淑な奥さんとか、純粋な愛国青年とか、とにかくいろいろ人間的な感情や信念やこだわりや事情を持っている人間や国家のすべてを利用して犠牲にして、生きのびる。こいつの過去があばかれる時、大学時代の友人が、そんなに深いこと言ってるようでもなく、普通の情報として語るのが、こいつは医学を学んでたが結局卒業はしなかったし、紛争時には規則が厳しい軍隊には入らないで民兵としてムスリム狩りをしてたけど、別に思想があるわけじゃなく、ただの趣味だったとか、いちいち浮かび上がるのが、悪い意味で何のこだわりもないクズだということで、こういうやつが、ただ自分の欲望を満たし、ルールもふみにじり、人に言うこと聞かせるのがうれしくて、レイプや殺人にあけくれて、しかもそれがトラウマになるでもなく、ちゃらっと健全な市民として再生して、国家にも守られてる、という図式が、ありありと、まざまざと、わかってしまうのが恐ろしい。
こういうやつが最高にはばをきかすのが、戦時下とか非常時であるわけで、内田樹さんも言ってたと思うが、共謀罪とかが機能しはじめたら、水を得た魚のように喜んで、人を告発し、国家や社会や法律をかさに着て、自分のしたいことして人をおどかして支配して、力を実感し生きている幸福をかみしめるのは、ほんとに、こういうやつなのだ。ものすごく、それが伝わって、寒気がするほど恐いと同時に、火が出るほどに腹が立った。地味だが、見ごたえある、いいドラマだった。
◇都議選まであと二日。自民党の苦戦が噂されていて、これまでの所行を思えばそれは当然だが、この分では逆によっぽど議席が減らないと、ちょっと減ったぐらいでは予想より大したことなかったから支持されたという錯覚が生まれないかと心配になる。ぐうの音も出ないほど、とことんたたきのめさないと、わからないのではないだろうか。
しかし、今日の稲田の会見では記者たちも厳しい質問をしていたようだし、本当に本当にマスメディアの人たちはがんばってほしい。
昔つとめていた大学で、私の所属していたところが、全体の「足をひっぱる」と中心にいた勢力が文句を言ったので、私はまだ若かったけど、「足ひっぱらないと、踏みつぶされておしまいじゃないですか」と言い返していたものだけど、アベや稲田やその関係者は、本当に、倒さないと、こっちが踏みにじられることを報道関係者は肝に銘じておくべきだ。
◇何しろ明日一日、都議選に向けて、全国からできるだけのことはしましょう。
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