いったい何なの。
◇毎日新聞の四コマ漫画の「アサッテくん」は特に最近はそう好きでもなかったから、終わってしまって新しい漫画に変わるのはそうイヤじゃなかったし、中身も別に悪くないんだけど。
ネーム(吹き出し)の文字が、超細くて薄くて、ものすごく読みにくい。
開始数日にして、もう読むのをやめてしまった。目が疲れるし、そんなに努力して読むようなもんじゃなし。
どうして誰も気がつかないんだろう? イライラ。
◇パソコンのYahooのニュースも何か最近すごく変。産経新聞とかを主に、安倍首相に質問や疑問をぶつけた議員やジャーナリストを、「この非常時に」と国賊扱いするような調子の記事ばっかり選んで載せている感じ。明らかに異常じゃないか。世論を一方的な方向に意図的に導こうとしているとしか思えない。
安倍首相の「罪をつぐなわせる」発言が、2日付のニューヨーク・タイムズ紙で「安部首相は日本の平和主義から逸脱し復讐を誓う」という見出しで「首相の復讐の誓いは、軍関係者さえも驚かせた」「安部首相は、戦後の平和主義を捨てて、世界でより積極的な役割を日本に担わせようとしている」と紹介され、3日のワシントン・ポスト紙(電子版)では共産党の小池議員の質問を引きつつ、首相が集団的自衛権の行使をめざしていると指摘し、「日本の国家主義者らは人質事件を軍事力強化の口実に使うかもしれない」との識者の声を紹介している、ということを私は今朝の「しんぶん赤旗」で知りました。こんな情報も教えないで、ネットのニュースは何をしてるの。
◇他にも言いたいことはたくさんあるのよ。だいたい、残虐な処刑映像見て、「こんなやつらとは問答無用、交渉の余地はない、戦え、殲滅しろ、憲法変えろ、首相に逆らうな」まで瞬間移動してしまう人たちって、どういう瞬間湯沸かし器なの。戦争やテロリストを、何と思っていたんだろう。今さらそんなの見せられて、うろたえて浮き足立ってばたばた走り回るなよ。みっともないったらありゃしない。
今、一番危ないことは二つあって、一つはイスラム教や中東の人たち皆に、敵意や恐怖を抱くこと。こんなのガキ以下の幼稚さと思うから心配するのも恥ずかしいけど、実際いるみたいだからしかたがない。
もう一つは「この非常時に、テロリストと戦うと言ってる首相を攻撃するのは、テロリストの味方だ、テロリストと同じだ」と言う理屈が、Yahooのニュース画面でもわかるように、けっこうまかりとおり始めていること。あのね、騒がないでも大丈夫だから。非常時でも何でもないから。
◇もうだいぶ前に私が「九条の会」のチラシに書いた文章を一部、再度引用します。
「僕たちはね、日本がとても好きだった。とても尊敬していたんだよ。日本の技術は世界一だ。日本はあれだけすごい技術と頭脳を持った国なのに、その力を武力の増強や核開発に使わない、すごい国だと評判だった。お金があって、技術があって、それでいて高いモラルのある国。信頼できる国だった。だけど突然、君の国は、アメリカ側にくっついてイスラム社会に牙を剥(む)いた。イラクやアフガンに襲いかかった。僕らはとてもガッカリしたよ」 第7回開高健ノンフィクション賞を受賞した中村安希の旅行記「インパラの朝」(集英社文庫)で、「物腰の極めて落ち着いた、成熟した雰囲気」で「難解な理論を持ち出さない清楚で健康な」パキスタン青年の一人が著者にこう言います。私たちの知らない遠いかなたで、私たちの日本は、こうやって高く評価され、そして深く失望されているのです。
これはパキスタンの青年のことばですが、中東でも同じように、九条を守って戦争に参加しない日本は好感こそ抱かれていても敵意は持たれていませんでした。自衛隊のイラク派兵以来、それが次第に変化して行きます。今回のテロ事件で「九条はこんな時に無力だ」と言うのは、屋根を自分がぶっ壊して雨がもるようになった補償を業者に要求してるようなもので、まあ安部首相のしてることは基本ずっとその路線なわけですけどね。
で、そういう幸福な九条の恩恵のおかげもあって、私もですが日本では中東の情勢やIS(自称イスラム国)について何も知らないで長年すごして来たわけですよ。彼らの苦しみ、彼らの憎しみ、彼らの言い分、私たちはほとんど何も知らないで毎日を過ごしてきた。そして、いきなり首を切ったり焼き殺したりする映像を見せられて(ほんとは香田さんのこともあるから、いきなりでもないんだけど、それでも見ないふり関係ないふりしつづけてただけなのよな)、「問答無用だ、戦え、批判し合ってるときじゃない」なんて、びびりまくって、あわてまくって、勝てるわけないじゃんよ、どう考えても。ていうか、そもそも戦う気あるんかいもうマジで。
◇ここまで放ったらかして関心持たずに、そもそも自国の政治や政府にさえも関心持たずに、新聞読まずニュースは見ず選挙に行かずにいたのだから、それで今まで無事だったのだから、政府や首相への反論や批判は許さないとか、とにかくあんな狂人グループはやっつけろとか、誰がどう見てもうろたえて取り乱してるとしか思えないこと言う前に、落ち着いて深呼吸して、いったいこの状況がなぜ起こったのか、今の政府や首相が、この「非常時」(と私はちっとも思ってないけど)にふさわしいのかとか、ちょっとは調べて、議論して、考えて見んかい。ぼやっとしてたら秘密保護法で何も教えてくれなくなるかもしれんけど、まだまだ情報はいろいろ見られるんだから。それをまあ自分から、「政府を追及しちゃいけない」なんて、ものごとのいきさつを知る機会を閉ざしてしまってどうするよ。欲がないのにあきれるよ。
最低でも、中東情勢とかIS(自称イスラム国)の実状とかテロリストの言い分とか彼らをそこまで追い込んだものを知るべきだ、私もまだよく知らんけど。そう言ったら、おまえはテロの側に立つのかとかテロリストに同情するのかとか、テロを理解するのかとかテロリストの代弁者になるのかとか言う人がきっといるんだろうが、とぼけたことを言うんじゃない。私は何でもサイコのせいにしてしまうアメリカの犯罪ドラマや警察小説は好かんけど(そのわりによく見てるけど)、それにしたって凶悪な犯罪者をとらえて滅ぼそうと思ったら、不可欠なのはプロファイリングだろうがよ。彼らの言い分、主張、本音を充分に理解してこそ、対抗手段も殲滅手段も、懐柔も説得も可能になる。そこをすっとばして、彼らを理解し、彼らのおかれた状況やそこに至る歴史を見ないでおいて、相手の出方も戦い方もわかる