1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. かるい気持ちで言ったのよ

かるい気持ちで言ったのよ

私は別にアメリカがうらやましいとも、うまく行ってる国だとも思わんが、重要な政策について大統領が野党の代表と、サミットを休まなくちゃならないと思うほどに話し合いをきちんと重ね、その後国会で承認を得るとかいう話を聞くと、うわあ、文化国家だ近代国家だと感心したくなるのが、つくづく情けない。日本なんて国防に関して国の方向を大転換する大問題でも、こそこそ身内の閣議決定で決めちまって、それにさしたる抗議の声も上がらんのだぞ。いったいどこの発展途上国だ。とか言ったら発展途上国に失礼か。

例の立てこもり事件、犯行の動機は、朝のジョギングをしている近所のおばさまたちが、にぎやかに話しながら歩いておられるのを、家の中から聞いて「自分が一人暮らしだと悪口を言っている」と思い込んだことが原因だそうだ。真偽は別として、あくまで別として、妙に納得させられそうなのが恐い。

その一、たとえ他人の家の前をめちゃくちゃ大声で悪口言って毎日歩いてたからと言って、刺殺されなけりゃならない理由には絶対にならない。

その二、警察が「そのように思い込んだ」と言って、メディアもそれを垂れ流してるが、実際にそう思われてもしかたのないことを言ってたかどうかは、お二人ともが亡くなった今、もはや永遠にわからない。
 仮に少々事実だったとしても、殺されていいことにはならないのは「その一」に書いたとおりだが、もし本当に完璧に犯人の思い込みでしかなかったら、ご婦人二人はどんなに驚き、かつ恐かったことだろう。それについてのご説明も弁明も、もうまったく、ご本人たちはできないのだから、どんなにか無念でいらっしゃるかと思う。

その二つをいやというほど確認した上で言うのだが、ラジオでしばしば引きこもりの人たちの発言を聞いていても、一人暮らしの繊細な人が、どれだけぴりぴり神経をはりつめて生きているかがわかる。実はたまたま書きかけている小説が、SNSのいじめや炎上も連想しつつ、「バカが気軽にぺらっともらした一言が、とりかえしのつかないほど、人を傷つけ、思わぬ方向にまで拡散発展して、思いもよらない大きな悲劇を招く」という筋書きで(自分でネタバレしてりゃ世話ねーやっつうの)、その最初に言ったバカは、世界が崩壊して焼け野原になった後で、「かるーい気持ちで口にしたのよ、私って考えないで何でもすぐ口に出しちゃうの、そんなに真剣にとらないで~」とか抜かしている(実はこれ、私にかみつかれた時の親友の決まり文句。笑)という話なんだよねー。いやもちろん、他にも書いてることはあるけどね。

だからもう、変に犯人の気持ちが見えてしまう。それがあたっているかどうかはとにかくとして。そういう点でも限りなくゆううつだ。

あーれー、また悪口書いてる間に肝心なことを書く時間がなくなった。もしも時間がとれたなら、あとでまた参りますゆえ、お許しを。

Twitter Facebook
カツジ猫