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くぼんだお墓。

◇去年の四月に亡くなった三毛猫シナモンのお墓に植えた花が枯れたので、新しく植えたパンジーは、いまのところ元気にきれいに咲いています。
でも、こんもりと盛り上がって、いかにもお墓らしかった、シナモンを埋めたあとは、気がつくとすっかりぺちゃんこになって、花と、囲んだレンガ以外は、回りの地面とまったく区別がつかなくなりました。
シナモン。土に還ったんだよねえ。と、それを見下ろして、思っています。

◇テロのこと、九条のこと、いろいろと書きたいことは山ほどあるのですが、時間がないので、しょうもない無駄話をします。ごめんなさい。まともな話はもうちょっと待って。

少し前に、というか何べんも書きましたが、ご近所の方から、「電気がついていましたが、このごろはこちらのお部屋におられるのですか?」というような質問を、もう何年も投げかけられていて、おかげで私の「近所の孤独なお年寄りを見守ろう」「孤独死をくいとめよう」といったたぐいのキャンペーンへの拒絶反応は、いやが上にも高まっており、脳溢血か何かで倒れて七転八倒で苦しみながら孤独死して、死骸は猫に食べられて白骨化してもいいから、どうかもうご近所の人からは決して見守っていただきたくないという思いは、便秘のときの宿便もどきに、かっちかっちに固くなりつつあります。

そのことをメールである方に書いたら、「不思議でならないのは、そもそも隣に灯りがついてるとか、ああ、あそこにいるのだなあとか思うまではいいとして、なぜそれを、わざわざ本人に言わなければならないのだろう」と疑問をいただきました。

◇それは私も本当に不思議で、第一皆さんからそう言われるたびに私は「ああ、電気がついていても私がいるとは限らないんですよー、おほほほほ」と、それももう毎回判で押したような答えを何年間も続けているのに、まったく聞かなかったように、またしばらくしたら同じ質問が来るというのは、どうせウソついてるのだろうから、同じ質問を何度も何度もやってれば、その内に消耗してきて、ひょっとボロ出して本当のことをいうかもしれん、という、秘密警察の尋問もどきのテクニックを駆使されているのか、とも思います。

しかし、まあ普通に考えて、それ以上の可能性としてあるのは、結局話題づくりというか、会話のとっかかりというかでそういうことを聞いておられるので、まさか私がそういうことを聞かれて精神状態や体調の悪いときにはがっくりして寝込みたくなり、仕事もできなくなるほどのダメージを受けていることもあるなんてことは、まーるで気づいておられないんだろうなあということです。

そして、つまりそれは、本当は私がどこにいようが何してようが、全然どうでもいいし、万一私がぶっ倒れてようが強盗に刺されてようが、別に気になってはないのであって、とにかく何か言うことがあればいいというだけのことなのでしょう。
そうでなければ、一度か二度「電気がついてても、いるとは限りませんよ」とか言われた時点で、ああなるほどそういう暮らし方なのですね、と頭の中のメモ帳に記録なさるはずで、それをまったく聞かれなかったかのように同じことをくり返されるというのは、むしろ「あなたの生活に私は何の関心もない」という宣言でもあるかもしれない。

◇と、いうようなことをメールで返事したら、またその方から、そう言えば自分もいろんな場所で、定期的に会う方々から、まったく同じ問いかけを恒常的にくり返されて、あれは結局、何も聞いていないしどうでもいいのだということなのですね、というような感想をいただきました。
要するに、世の中にはよくあることなのでしょう。

しかし、他人のこととして聞くと私にも余裕が生まれて、ふと考えたのは、そういうどーでもいい質問をくり返してくるような相手には、聞き逃せない忘れられない、とんでもない回答をするという手もありますよね。
「猫はお元気ですか」「先日食べました」とか。

◇昔むかし、何かの本で読んだのですが、アメリカ大統領の誰かだったと思うけど、ちがうかもしれない、とにかくそんな風な有名人物が、ものすごい人数の人たちといつも握手をしなきゃならないので、そのたびに口にする挨拶を相手は絶対ちゃんと聞いてないと推測して、ある日握手をするたびに、にこやかに「私は今日、祖母を殺しました」と言ってみたそうです。何百人もいた握手の相手は、誰一人それに気づかなかったそうな。
もっとも、これには異説があって、一人気づいた人がいて、その人はやはりにこやかに「自業自得でしたね」と応じたということです。

あー、こんなことメール相手の彼女にだけ書いてりゃいいのに、わざわざブログで書くというのも、さっきヤフーのニュースを見たら、例によって例のごとく、テレビ番組などで、ナイフや殺しなどの言葉を自粛する動きが広まってるそうで、そういうの読むとつい、こういうしょーもないことを書いてしまいたくなるのだよな私はもう。

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カツジ猫