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ご立派。

◇「しんぶん赤旗」と毎日新聞が書いていたが、アメリカではトランプの人種差別に抗議して、試合の前後に国旗に対してひざまずき拳をあげて抗議を示したり、恒例の表敬訪問をとりやめるスポーツ選手やチームや観客が増えているとか。

https://mainichi.jp/articles/20170925/k00/00e/030/190000c

これは毎日新聞の記事。「赤旗」もほぼ同じ内容だが、選手に連帯して手をつないで抗議した中に、観客やオーナーだけでなく「警備にあたっていた地元警官」もいた、と記している。

◇自民党の高村氏が議員を辞職するらしい。そんなことを言っている場合ではないが、何となく気の毒な感じがする。辞職がではない。アベに同調してろくでもない発言をくり返して政治家としての最終期を過ごしたことがだ。

猫虐殺事件の画像を見る機会はなかったのだが、外国のニュースでとり上げられたとの記事を見ていたら、初めて被害にあった猫の姿を目にした。
動画ではなく写真だった。注ぎかけられる熱湯が、まだ頭上にあって落ちてくる直前で、猫は警戒していない。檻の中におとなしく座って、上をふり向くように見上げている。

大きな立派なまっ黒い、多分牡猫だ。うちにいた、私が大好きだった黒猫のアニャンやナッツウとそっくりだ。大柄で堂々としている。見上げた顔の中に、金色の目が見えて、それも、うちの猫と同じだ。

何となく驚いたのは、こんな大きくて強そうな牡猫が、おとなしく檻に入れられていることだ。抵抗もしなかったし、恐怖を感じてもいないのが、見ていてもわかる。人間を信じて、甘えていたのだろう。この直後、この美しい黒い毛皮が焼けただれてめくれて、苦しみの中で死んで行くことを、この瞬間まだ彼は知らない。彼の人生の、最後の最後の、幸福な瞬間。

ずっと見ていた。何度も何度も、その顔を、目を、姿を見た。

◇私は人に傷つけられたとか苦しめられたとかいうことを、基本的には口にしない。好きでない相手なら、それを知られるのも腹立たしい。好きで愛した相手なら、それを知らせることでその人を苦しめたくない。冗談と思っていただいてもかまわないが、私を愛した人が私に捨てられたら、ストーカーや自殺は論外として、苦しかっただの立ち直っただのやっと青空がきれいに見えて心が晴れただのと、はいはいはいどうぞ勝手に自分が主役になって安っぽい芝居してなさいみたいなことはしゃべったり書いたり、ついでに考えたりしてほしくないし、だいたい私を愛したり好きになったりしたら、嫌われたときに傷つかない覚悟もついでにしとけよなとまで思うぐらいな人間である。

(そう言えば、宮本百合子の親友でもあったロシア文学者の湯浅芳子のことが昔新聞のコラムでとり上げられていて、「突然怒って理由もなく絶交されることがあった」と語っていた周囲の人の談話が紹介されていた。若かった私は、それを読んで、多分それまで湯浅芳子がものすごくいろいろなことに耐えていて、もう口にするのもおぞましいという感じで縁を切ったかもしれないことに思いいたらない、こういう人には困ったものだし、見ていて単純に恥しいと思ったものだ。そして私は、自分が信じ切っていた親しい人に、突然崖から突き落とされても、ああ私はきっと自分で気づかず、この人をものすごく苦しめていたんだろうなあと反省しながら落ちて行って安らかに死ねると、それもいつも思っていた。)

猫虐殺事件の署名のページには、新しく知って書きこむ人も毎回増えているから無理はないのだが、犯人への怒りと憎しみがうずまき続けていて、これがどうか法改正などの明るい方向へ向かうことを祈るばかりなのだが、そう言っている私自身が、自分の傷を人前にさらしたくないという誇りも優しさも、ともすれば失いそうになってしまう。

◇とにかく、今日の正午から殺害の現場では献花と奉経が行われるそうで、私も自分の個人墓(猫や犬の名も彫ってある)にお参りに行ってこようと思う。

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カツジ猫