さすがはキャラメル。
◇昨日予告した、故キャラメルの写真です。
彼は私に溺愛されていましたが、2000年の3月に、エイズを発症して8歳で死にました。金色と白の、堂々とした猫で、「仮面の男」という映画で、若き太陽王のルイ十五世に扮した金ぴか衣装のディカプリオを見ている間中ずっと「誰かに似てるのに思い出せない」ともやもやしていて、帰って玄関を開けて、にゃあと迎えに出て来た彼を見て「…おまえだったか」とつぶやいたほどの美形でした。
どこか得体のしれないところは、カツジ猫に似ていないこともないですが、カツジのように不安定な面はなく、落ち着いていて自信満々で、けんかも強く、掃除機をかけていてヘッドで寝ているわき腹に触れても、平気でじっと見ているような度胸のいい猫で、かみついたりうなったりしたことなど一度もありませんでした。私の肩につかまって耳たぶをしゃぶるのが好きで、見ている友だちから「やらしい」と言われたりしていましたが(笑)、とにかく私とよく気が合って、常に頼もしい私の相棒でした。
で、これは彼が二階の窓辺で寝ていたのを背中から撮った写真です。彼の母親は母が田舎で飼っていた日本猫の三毛で、父親は近所にいた純血のチンチラだったとのことで、彼もカツジほどではないけど、少し毛が長く、ふわふわしていました。しかし、カツジのようにスカスカではなく、みっしりと肉がついていて、全盛期には7キロ以上ありました。それでも抱くと、どこかふわっとしたやわらかい感触の重さで、外国製の人形のようなふしぎないい香りがいつもしていました。やつれきって2キロにまでなって死んだときまで、その香りだけは変わりませんでした。
とにかく、そんな風で、でかい猫でしたから、こういう写真になるのです。これを見て猫だと当てた人は私の周囲にいません(笑)。
やはりカツジとは格がちがうと、あらためて思いますが、でも、このオレンジの毛の中から、ぬいぐるみがほつれたように、白い下毛が一房飛び出しているのは、カツジも同じですねえ。
この写真、たしかハガキにもしたはずなのに見つからず、写真立てに入れていたのがガラスにはりついて取れなくなってたのを、ガラスごとスキャンしました。まあまあきれいにアップできそうで、さしあたりはこれで手を打つことにします。
◇今日はカルチャーセンターの講座に行く日だったのですが、行く先をうっかりまちがえていて、途中で気づいてとんぼ返りで家に引っ返し、テキスト見つけて飛び出して、タクシーでぎりぎりすべりこむという離れ業をやらかしました。おかげで何度か全力疾走して、足腰が痛みます(笑)。講義のテーマは黄表紙で、歌川豊国が絵を描いている、一つ目小僧とその父親の話をして来ました。黄色い服を着て行ったので、受講者の方が「先生、テーマにそろえてその色ですか」と聞いて下さいましたが、ちゃうちゃう、もともと、ちがう所でちがう内容の講義をする予定で出かけたんですから。
しかし、よく途中で気づいたよなあ。あの時バス停で、ひょっと手帳を見なかったらどうなっていたことか。ほんとに一寸先は闇、板子一枚下は地獄の毎日を何とかうまく切り抜けてます、今のところは。