さらに、ついでに。
「君が僕を見つけた日」と、「あなたは私のムコになる」とをDVDで借りてきて、さっき前者を見たとこです。どなたかもブログで書いておられたけど、これは原題の「時間旅行者の妻」をそのまま使った方が断然よかったのになあ。一般受けしないと思ったのかしら。
だって、この映画の魅力は「時間旅行」という現実離れしまくりの話と、結婚、出産、未来への不安、倦怠期、実家との関係、その他もろもろのやたらリアルな問題とを、実に上手に融合させて、洒落ているのに暖かい手触りの、素朴なようで近現代的なデザインの家具や家のような、なつかしい、慕わしい味わいを出しているところなんだから。
主演二人は「トロイ」や「ミュンヘン」のエリック・バナと、「消されたヘッドライン」で気鋭の女性記者やってたレイチェル・マクアダムスだが、どっちもさらっとやってるようで恐ろしくうまい。だいたい、子どもと老人とかじゃなく、20代から40代ぐらいの、わりと区別しにくい年代を、髪型や服装もそんなに変えもしないで、行ったり来たりで演じ分けるという、この設定がむちゃくちゃ難しい要求だよね。やらせる監督も監督だし、やってしまう俳優も俳優だよ。
しかも男女どちらも、それなりに、円熟した中年や、ささくれて恐いもの知らずの青年を、みごとに演じわけてるもんなあ。目立たないだけにすごいよ、神業に近い。
そういう演技があるからこそ、中年の夫と心が行き違いはじめて疲れた妻が、過去の若い夫と会った時に感じる、切なさや甘さやときめきが、ぞくぞくするほどの実感で理解できるんだよなあ。そりゃもう浮気もしたくなる、しないでどうすると思うもんなあ。しかもこれ、暗い車内で、顔もはっきり見えてるわけじゃないのに、何でかこう、夫がたしかに若いのが伝わるもんなあ。すごいよ、もう、何でだよ(笑)。