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源平つつじ

我が家の門の脇には、源平つつじが植わっている。植えたのはむろん私だが、いつどこで買ってきて植えたのか、まったく記憶がない。どこかに旅行したとき、記念に買ったんだと思うけど、これではまるで記念にならない。

最初は鉢植えの小さい株だったのが、だんだん大きくなって、特に世話もしていないのに毎年きちんと立派に咲く。水仙が終わって桜が終わると次はこれだと予測してしまうぐらいだ。
特に今年は退職祝いでもあるまいが、異様にみごとな花をびっしりつけた。緑の葉が見えなくぐらいで、遠くから見ても壮観である。大きさも、もうひとかかえなんてものじゃない。

しかし、これは源平つつじというぐらいのもんで、たしか毎年ちゃんと赤と白の花が咲いていたのに、今年はピンクがかった赤一色で、白の花のかげも見えない。どうしちゃったんだと思っていたら、今日、下半分に白いつぼみがいっぱいついているのが見えた。なるほどね。これから源氏が旗揚げするのかよ。

退職金や年金がいつ入るのか、説明会でちゃんと教えてもらったのだが忘れてしまって、悪くしたら四月は金がまったく手に入らない月になるんじゃないかと、ひやひやしている。貯金を崩しているが、これがまた、相当倹約していても、電光石火でするすると金が減る。
それで、ずっととっていた共産党の機関紙「赤旗」をやめようかと思ったのだが、この前の日曜版に、西山太吉さんの取材に関する裁判を描いた「密約」という古い映画が東京で上映されているというニュースがのっていて、見には行けそうにないけど、紹介された内容が面白そうで、こういう記事があるからやっぱりやめられんなあと考え直した。

前にも書いたが、この事件、結局、スクープをした記者の西山さんが取材源にした女性と関係があったとかいう事情を、当時の社会やマスコミがピントはずれもいいとこの、ものすごい攻撃をして、それに誰もきちんと反論できなかったようなのが、今思い出しても気分が悪い。そして、これまた、その女性職員の立場や意志というものが「男にだまされて情報渡した女」みたいなとらえ方で、ものすごく不愉快だった。この人が一人前の責任ある大人という扱い方が、まったくされていなかった。

二人の関係なんかあってもなくてもどうでもいいことだが、かりにそれがいけないことであったとしても、たとえば、泥棒がマンションに入ったら腐乱死体の山があって、そこの住人が殺人犯とわかったとしたら、泥棒の罪なんて普通不問にふされて、死体の山の方が大問題になり注目されるだろ。どんな手段を使ったって、あばかれた密約の方があるかないか、はっきりさせることに、社会もマスコミも燃えなきゃならなかったんじゃないか。そういうことも、わりきれなかった。

今、事実が明らかになった中で西山記者の正しさが、劇的に証明されたのは、実にありがたいし、西山さんがお元気で生きていて下さったのも心からありがたいと思う。あれだけの不遇の中で、どれだけ強靱で柔軟な精神をお持ちだったことか。

でも、今でも、その女性をどう考えるかが私の中でも明確にならないのが、もどかしい。沢地久枝さんなどが書いて下さってないのかなとか思いながらも探せずにいた。

そうしたら、その「密約」の映画、江戸の歌舞伎もまっさおのみえみえの名前で映画化してるのだが、西山太吉さんは石山太一、女性は筈見絹子、そして事件に関心を抱いて裁判を傍聴するジャーナリストが沢井久代って、これ沢地さんだよね。まったく何ちゅうネーミングかと思うけど、だとすれば沢地さんはやっぱり何か取材して書いておられるのだね。ほっとしつつも、あらためて頭が下がる。

でも俳優もすごくて北村和夫が西山さん、吉行和子が女性、沢地さんは大空真弓というそうそうたる配役だ。日本の映画人もやるじゃないか。(でも、西山さんは多分、実物の方がカッコよかったかもしれない。)

東京は銀座のシネパトスでやってるらしい。う~む、どうせ金ないんだから、やけで見に行ってみるかな。

じゅうばこさん、ゆきうさぎさん

他人に予定を把握されないですむ毎日は、空が抜けたように、ただただ爽快ですよ。

お風呂の工事がようやくおわって、きれいになりました。工事の人がいる間、時間つぶしにクッフェとかいう人の「鉄の時代」という小説を読み上げました。なかなかよかった。これについては、また書きます。

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カツジ猫