ぜ、絶対にエイプリルフールやろ
いや、エイプリルフールであってくれ…
首相が全世帯にマスク二枚を配布するという方針を出したそうだ。
何かもう、正気の沙汰とも思えない。本気かよ。誰かとめなかったのかよ。
私はもう、この間の自分のことが忙しすぎて、世の中のことは知らんと思っていたのだが、ちょっと心を落ち着けて、先のこととか当座のこととか、考えておいた方がいいかもしれないな。心を澄ませて、頭を洗濯して。でないと、もう本当に何もかもが見えなくなる。
何しろあの櫻井よしこ氏が共産党の志位委員長の言うことに、共感するとか言ってるらしいし。もう何が何だか。あらゆる枠組みが、乱れに乱れている。
規模はちがうかしれないが、かつて私は大学入試が認められなくて、それでも受験勉強をせざるを得なかったのに落ちこんで、大学に入学してもちっとも、ひとかけらも嬉しさを感じなかった。ずっと後になってうっかりそれを口にしたら学生の一人が、バカじゃないんですかみたいな顔をしたので、それもまたうんざりした。(「私のために戦うな」の中の「闇の中へ」の冒頭を参照。あ、小説「細菌群」のラストの朝倉君の手紙も。)
新入生の私に、大学は建物もシステムも何もかも、まったく不変でゆらがなくて、びくともしないものに見えた。私の不満や憎しみなど、この大きな組織をぴくともさせるかすり傷さえつけられないものと思うしかなかった。
でも、その数年後、私は共産党系だったから直接には関わらなかったが(「従順すぎる妹」に、そのころの様子が書いてある。特に第二部「目のないスワン」)、大規模な学生運動が起こって、大学は封鎖され、教授は廊下で学生になぐられ、授業は無期延期に中止された。何もかも、あり得ないことが現実になった。それまで不動で不変と思っていたもののすべてが、ちっとも不変なんかじゃなかった。
オリンピックも大相撲も野球もすべてなくなって、入学式も卒業式も中止され、あり得ないことが次々に起こる、今のこの感じは、少しあの時の様子に似ている。あり得ないことなんか、世の中にはない。
こんな時こそ、頭をフル回転して、現状と未来を見つめなければ。のほほんと引きこもっていたら、きっと何かに足をすくわれる。