そらあんた

今日はいろいろ計画を立てすぎて、全部が中途半端に終ってしまった。しょうがない、明日に賭けよう明日だ明日（笑）。
　なんかもう一番困ってるのは、ずっと返事をサボっていて、書く気まんまんのお手紙がどこかにまぎれこんで、アドレスが見つからないこと。パソコン机にうず高くつもった書類や写真やその他もろもろを片づけたなら出てくるだろうか。うー。

猫のカツジのお墓の回りをきれいにして花とかも植えたくて、でもその前に放っている先輩猫たちの墓の回りをもうちょっときちんとしなくちゃと思いつつ、でもまたカツジの墓を早くきれいにしたいからと先輩猫たちの墓の美化を急ぐのも何だか感心しないなあと妙なことを考えてしまう。私はこういう逆転現象みたいな考え方で、優勢順位をまちがえては、いつもこけるのだ。

大昔、初代猫のおゆきさんの具合が悪くて今日明日が最後かと思ってたとき、田舎の母が、特に何でもない用事で、帰省するよう言って来た。そんなこと言う人でもなかったのに、年取って気が弱くなる初めだったんだろうか。

帰らなくてはと思いつつ、おゆきさんの最後にいてやりたいと思いつつ、過ごしている内、気がつくとおゆきさんが早く死んでほしいと思いそうなことに気がついた。それはいやだったので、とにかくさっと帰って母に顔を見せて、すぐ帰って来て、ゆっくり最後の時を過ごしてやろうと混乱しながらそれだけ決めた。

車で田舎の母の家に二時間ほどかけて帰るときも、果たして大した用があるわけでもなかった母と、ろくに話もしないまま、すぐとんぼ返りして家に車を走らせた時も、その往復の道の景色も何もかもすべてが、しめつけられるように苦しくて、その後十数年も母の元へ帰省するとき、いつもその苦しみがよみがえった。ついでに言うとそれまで最も信頼できて無条件に愛していた母への愛も信頼も失ったとか傷ついたとか言うより、ただもう薄らいで、消えて行ったのに、自分でも驚いた。意志や感情の力では何ともならない感覚だった。
　思えば母が亡くなったとき、そんなに悲しまずにいられたひとつはそれで、だからまあ、あれはあれでよかったのかもしれない。

帰り着いて、おゆきさんの名を呼びながら家にかけこむと、彼女は寝ていたへやから私のいた居間に這って来る途中だったか、苦しげな表情で床に倒れて死んでいた。
　抱き上げると熱いおしっこがたらたらと流れ、身体もまだやわらかで丸く眠ったようにしてやれたから、本当に死んですぐ、もしかしたら少しは意識があったかもしれない。
　そのことで、母も誰も恨んだり憎んだりはしないと決めた。そんなもので彼女の死を汚したくなかった。ただ、恨みや憎しみを消そうと思うと、愛も他の感情もひとりでに薄らいで消えた。

おかげで、その後の人や猫の死にも耐えられた。もっとも最愛の猫キャラメルがこれまた今にも死にそうな毎日、そのころは現職だったから大学の会議にも出なくてはならないことが多く、それは仕事と割り切っていたが、最後に近いとわかっている日の会議には、もしも毎回どーでもいいくだらん発言や面白くもない雑談で会議を一分一秒でもひきのばす同僚が今回ももしいたら、そいつの顔も名も口にした一言一言も、死ぬまで絶対覚えているだろう忘れられないだろうなとは思っていた（笑）。幸い毎回無事に帰れて、結局キャラメルは私に抱かれて腕の中で死んだ。前脚のつけねのあたりで、彼の心臓の鼓動をずっと感じ取れていたので、それが弱くなって遠くなって完全に消えるのを指で感じていた。
　ちなみに今回死んだカツジの心臓の音もそうして探ろうと思ったのだが、毛が長いからかあいつは心臓がないのか（笑）、どれだけ探っても伝わる場所がわからないままだった。

おゆきさんにもキャラメルにも私は「待っていてね」と言えなかった。「無理はしないでいいよ」としか言えなかった。

まあそんなことの数々を思えば、先輩猫たちの墓のことなど笑い話級だが、それにしても早く片づけて大事なことに集中したいと思う私の癖は、下手すると優先順位をまちがえさせる。

ところで自民党の支持率が上がっているそうだが、そらあんた誰が考えても、石破氏に今辞められて、しょうもない人たちに政治の中枢握られたら大変だって思ってる人が多いからでしょ。歴史はまったく予想もつかないねじれ方やゆがみ方をするものだ。これをどう処理して行くかは、本当に注意深く見て考えて決めて行かなければならない。

マンションで見知らぬ女性を刺殺した犯人のことが連日報道されていて、一人暮らしの女性はどう気をつけて暮せばいいかと盛んなアドバイスがされている。それにも言いたいことはあるが、何はさておきニュースの映像見ていて、一番あきれて当惑するのが、犯人が護送されるとき、いっちょまえに顔をおおって隠していることだよ。けしからんとか言う前に、その心境だか心理だかが私にはまったくわからない。まさか恥ずかしいと思ってるわけ？そうだとしたら何を恥じてるわけ？自民党の支持率が上がるのはともかく、こっちはまったく見当がつかない。

さて明日は手紙が見つかりますように。