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それにしたってアンミカさん

少し前の書き込みで「泳がせておきましょう」のタイトルの意味を説明しないままになっていたので、ざっとお話しておきます。

私は自分はパソコンもよう打たんのに、情報処理センター長をつとめていたことがあります。その点では自民党の専門知識ゼロなのにその方面の要職についている大臣とかを笑えないかもしれません。せめて、他の方面で役にたとうと、情報処理センターの仕事や実情や役割を「ニュース」にして頻繁に配布し、理解や改善を求めようとしたりしていました。

職員の皆さん(と言っても数名)は非常に有能で、頼りない私を支えてくれました。センターの仕事は実に多方面にわたり責任が重くて重要でした。そのささやかな一つには、学生が大学のパソコンを使って違法行為や危険行為をすることの監視や禁止もありました。何しろもう三十年以上前のことですから、いろいろ事情はちがいますが、たとえば教員の研究室のパソコンやアドレスを使って、ルールやマナーに抵触する発信をする学生もたまにいました。

ある時、またそういう学生が見つかったので、職員の報告を受けた私は、指導教員に連絡しようと即、電話の受話器を取りました。したらば有能な職員はそれを押しとめて、「いや、もう少し泳がせておきましょう」と言いました。当面の危険はないし、動かぬ証拠をそろえてから教員ともども指導したいということだったのでしょう。私はもちろん、それに従いましたし、多分すべては無事に片づいたと思いますが、「泳がせておきましょう」のせりふが麻薬Gメンみたいで印象に残りすぎ、友人と話してかなり面白がったものでした。

ちょっと下火になってるようで、まあどーでもいい事件かもしれませんが、テレビによく出ていたタレントさんが、とんでもない書き込みをして大炎上し、テレビ界から消えそうになっている最近の出来事を見ると、何だかそれを思い出します。さまざまな人たちがめっちゃやたらにそのタレントの人柄や芸をたたいているのが、あまりに激しいので、「なぜもっと早く言わなかったか」「こんなに皆がたたくのは行き過ぎている」などという批判も、わずかながらあるようです。

しかし、これだけ一気に総崩れにその人への批判があふれだしたのは、自戒もこめて言うのですが「泳がせておきましょう」という感覚で見守っていた人たちが相当数いたのだなということだろうなと感じます。その人の非常識、実力のなさ、その他もろもろの「なぜ人気があるのか理解できない」と皆の中で積もり積もっていた感覚が一気に噴き上げたのでしょう。

まあ私も嫌いなタレントは多いですし、そもそも同時代の石原裕次郎、吉永小百合、美空ひばり、島倉千代子の皆さんがすべてもう大嫌いで、どこがいいのかわからなくて、全然魅力を感じないぐらいですから、今問題になっている人なんて、どうでもいいようなものですけど、それにつけても、むしろ私が感心するのは、もっと大御所のタレントのアンミカさんのことです。

私は彼女のことも特に好きでも嫌いでもなく、ただよく浴びせられている批判や悪口については、ちっとも同調できないので、まあ評価していると言っていいと思います。
 特に、今袋叩きにされているタレントさんに対して私が「あ、こりゃだめだな」と決定的に否定的になったのは、何かのバラエティでアンミカさんが、決して悪口でも意地悪でもなく、友人として先輩として、その人の人となりを紹介し、「遅刻しまくり」「謝ったらすむと思ってる」「すぐ泣く」などと説明して、なるほどそういう人かと大変よく理解したことがきっかけでした。その点では、彼女のコメントや情報は信頼できるという印象を抱きました。

アンミカさんが、その発言をした時、くだんのタレントさんも横にいました。アンミカさんがどういう意図で発言したかは今もわからないし、まあその点もみごとですが、少なくとも、その人に鋭いセンスや才能や、人としての無邪気さや素直さがあれば、即座に反論し反応して何らかの印象を視聴者に与えることは十分に可能でした。けれど、その人は、ある意味とてもおいしい、その紹介に対して何も言わず、笑いも怒りもせず、あいまいな表情で沈黙を守りつづけました。まるで巨大な泥人形のようなその様子が非常に無気味でもありました。そういう風にしか生きていけなくなっていたのかもしれませんが、とにかく以後その人について私は関心をなくしました。

少し前にテレビのプロ野球中継で、多分達川氏だと思うのですが、いっしょに解説していた多分池田氏と思うのですが、自分の毒舌に比べて、穏やかなもの言いをするのに「は~、そんな風に選手や監督を傷つけない言い方をすればいいんやなあ。勉強になるわ~」とか、おちょくり半分感心していたのを思い出して、あのアンミカさんの才能は私も学ぶべきかもしれないと思ったりする今日このごろ。

あーもう、何というどーでもいい話を長々してるんでしょうね私は。

昨夜はNHKスペシャルのサイパン島の戦闘に関するドキュメントを見ていました。最初は国際法に従って人道的に戦っていた米軍が、非戦闘員の日本人の軍とともに戦い玉砕する姿を見て「日本人は最後の一人まで殺さなくてはならない」と決意するにいたる過程が、当時の膨大な兵士の証言の録音から浮かび上がって、非戦闘員というもの、戦争というものに対して、あらためて考えさせられました。

以前、むなかた九条の会で実施した、二つの講演会の記録があったので、リンクしておきます。一人でも多くの方に読んでみていただいたいです。

私はパラオで戦った

日本は中国で何をしたのか

 

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カツジ猫