雨はどこに
日本国中、雨が降っているみたいなのに、私の回りではさっぱり降らない。てきとーに挿したバラがいくつか根付いて、けなげに花を咲かせているのを見るにつけ、毎日朝夕必死で水をまいてやるのは文句はないがそれにしたって、家事全体がもういやになって来た。
特に水まきは最近、蚊の大群に悩まされている。ひょっと気づくと足や手に三匹ぐらいが一列にとまって血を吸っていて、思わず見とれてしまうほどだ。
腹が立つから長ズボンと長袖シャツと軍手と首巻き手ぬぐいで完全武装して出かけたら、さすがに身体の回りにうずまいているが、手が出せないようで、ざまみろと思っていたら、結局全部が顔を襲ってきた。片っ端からたたきつぶしても追っつかないぐらいで、こうなったら銀行強盗のような目出し帽とか買ってすっぽりかぶってやろうかな。
テレビは総裁選のニュースばかりで、しょうもない顔ばかりが登場するから目が汚れる思いだ。私は言うことすること何もかもから、もう河野太郎だけは要職につけてはいけないと以前から思っているし言ってもいるが、さりとて他の面々もそれに劣らずもうひどい。どっちみち、こちらが参加もできない党内の人事なのだから、ほっとけばいいのに、何で微に入り細に入り、それもくだらないことばかり放送するのかね。最大の宣伝じゃないか、自民党の。バカにおしでないと言いたい。
もう何十年も前になる。総裁選の報道なんてほとんどされない時代だったが、それでも少しはニュースになってて、それを作家の開高健さんが、「こんなたかが一党の人事に国民が関心や興味を持たなくてはならない状況は情けないし異常だ」というようなことを書かれていた。子ども心に同じ異和感をぼんやり抱いていた私は、思わずひざをたたいて満足したのを覚えている。総裁選があるたびに、そのことを思い出すのだが、事態はますます徹底的にひどくなっている。だいたい、国民が参加できる選挙については、ろくな報道をしないくせに、手の届かない選挙について、何をこう熱心にとりあげるんだろう。何もかもが狂っている。
体調はだいぶよくなって来たがまだ本調子ではない。「こんな時には近づくな!」警報を出したのが中途半端に終っているので、もう少し続きを書かなくちゃいけないなあと考えている。心の膿みは、早く出し切ってしまいたい(笑)。
写真はドアストッパーに使っている、古い古いゾウさん。「グラディエーター」小説の挿し絵のイラストにゾウの絵を描きたくなって、輪郭のモデルにしようと、引っ張り上げたらほこりだらけで、酷使してたなあと反省。机のそばのドアに職場を移してやりました。