1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. ただもう気持ちが悪いのよ

ただもう気持ちが悪いのよ

例のオブジェは花瓶じゃないけど、背中に木の枝をさしこめるようになっている。伸びすぎた枝を刈り込みがてら、いろんな枝をくっつけてみられそうだ。昨日は緋玉マユミだったんだけど、今朝は姫エニシダにしてみた。悪くないんじゃない?

昨日あたりからのNHKのラジオのニュースが英国女王の死の報道一色で、もう気持ちが悪いったらなかった。街頭インタビューに応ずる人たちがこれまた判で押したように、女王をたたえ、その死を悲しみ、淋しいの何のとぺらぺら言うものだから、そのミーハーさ、薄っぺらさに背中がぞげぞげした。

あんたはいったいエリザベス女王や英国の、何をどれだけ知ってるのかと、心の底から言いたかった。

いやそりゃ私だって知ってるわけじゃないけどさ。
でも、ダイアナ妃が死んだとき、世間はまるで女王が冷たく悪者みたいに言っていた。友人が激怒してダイアナ妃をののしりまくってたから、よく覚えてる。私はダイアナ妃もそう嫌いじゃなく、というか彼女を追っかけるパパラッチが大嫌いだったから、友人ほど激怒はしなかったけど、映画「クイーン」でも、その雰囲気はかなり描かれていた。世間はダイアナ妃を持ち上げまくる一方で、女王をたたいていた。
あれはいったい何だったのだ。ダイアナ妃だって生前は悪口も言われてたのに、死んだとたんに聖女に変わった。私はこういうことのすべてが、本当にいやでならない。自分が死んだ後、何も誰も語ってくれるなと思っちゃうひとつも、これが理由だ。取り越し苦労もいいとこだけど。

アイルランド関係の映画や小説もいくつか見たけど、それこそ「ダウントン・アビー」でさえも大きい要素としてとりあげてた、あの英国内の深刻な問題、不協和音を、今、女王のことをほめそやす人は、ちょっとでも考えてるのか、知ってるのか。シャーロック・ホームズの親友ワトスン博士が負傷したインドでの戦争のもととなった英国の植民地支配じゃ、反乱起こした現地の人を、大砲の前にしばりつけてぶっとばしたりしてた国だぞ、英国は。映画や小説の「マスター・アンド・コマンダー」でも…って、ほら、私の知識なんて、皆大衆文学のミーハー情報でしかないけど、それでも、このくらいのことは思い浮かぶ。女王を手放しで礼賛追悼する前に。

オバマ氏が大統領になったとたん、名前が同じだからと姉妹都市になりたがったどこかの市の話を聞いて、使うのもいやな言葉だけど、その感覚の民度の低さに吐き気がした。トランプが大統領になったとたん、USAの名にちなんで、JRの宇佐駅の前にちょろいトランプハウスを飾ったという私の故郷の話を知ったときには、穴ほって入って二度と出てきたくなかった。

どうしてこんなに、どいつもこいつも、ろくすっぽ知りもしない外国の有名人が好きなの。それももっぱら欧米の。

そしてインタビューとかされたら、とっさに同調して、適当に悲しみなり賞賛なりしなきゃいけないと思ってしまう、その無責任さは何なの。こういう連中がアベ政治や自民党や統一協会を支えて来たんだろうと言いたくなる。

この英国女王の死と国葬の様子が、今後もぺたくた報道されまくるとしたら、日本の世論は、「あー、ああいうのいいなー。うちもアベさんをもっと皆で追悼してみたいなー」となるのか、「あー、うらやましい、あんな国葬ができたらいいのに、うちのは何とちがうんだろー。これというのも岸田が悪い、麻生が悪い、アベが悪い」のどっちにどう流れて転ぶか、どっちにしても、いやすぎる展開だと思っていたが、Yahooのニュースのコメントを見るかぎり、どっちかというと後者で、「比べるもんじゃない」というあたりで折り合いをつけてるみたいだ、皆。

まあ、これが流れというものか。前者の「いいなー、うちもあんなのしたいなー」よりは、はるかにはるかにマシだけど、どっちにしたって、歴史も状況もろくに知らないよその国の葬儀だの行事だのをあれこれ知りたがってる場合かね。町内のご近所のお葬式を興味しんしんのぞき見して花輪や棺に見とれている人たちみたいで、みっともなくって泣けてくる。

などと、あれこれ、さまざま毒づいてたら、ツイッターで以下の二つの記事を見て、ほっとして、すっとした。

ぜひ、くっついているコメントまで全部読んで下さい。アイルランドでは喝采してる人たちもいるそうで、そりゃ、そういうものだろう。

Twitter Facebook
カツジ猫