だめだなあ
何か、もうやっぱり、立ち直れないかもしれない。
頭の外が壊れたら、頭の中も壊れてしまった。
自分が、他人になったような気がする。
自分が、もう見つけられない。
体調もよくない。
ゆうべから、ずっと、頭がぐらぐらする。吐き気もとまらない。
心が折れる、って、手垢のついた決り文句だと思っていた。
そうじゃないんだということがわかった。
ゆうべから、気分転換にいろんなことをしてみた。
でも、何一つ、役に立たない。
五十年間近く、生き方の基礎にして来たもの。
決して捨てまいと、歯をくいしばって、いろんなものを犠牲にして、
福岡、熊本、名古屋、大分、そして今のこの家に移動する間、ずっと、
それだけは守り続け、手放すまいとして来たもの。
それが、こんなにあっけなく、砕けて、壊れてしまうのなら、
あの歳月は、犠牲にしてきたものの数々は、いったい何だったのだろう。
ここまで積み上げて来た努力が、あともう少しというところで、
全部無駄になってしまった。
ひとつ欠けても、だめなものはある。
手放したら、二度ともう手に入らないものがある。
そうなることを、本当に、日夜恐れて、
それだけは避けようとして、生きてきたのに。
敵ではなく、味方の手によって、
悪意ではなく、好意と善意とによって、
それらが失われ、奪われ、私の人生も未来も消えた。
こんな目にあう、どんな悪いことを私はしたのだろう。
ゆうべから、ずっとそれを考えてしまう。
本当に、もうどうやって生きて行ったらいいか、わからない。