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とんでもねえぞ

アベ派の裏金とやらは、各議員の中抜きも加わって5億以上になりそうだとか。もう底が抜けてるな。あたりまえのような不思議なような気がするのは、これだけ死に体の政府が、医療とか教育とか防衛とか、あろうことか憲法とか、日本の未来を根本的に大きく左右するようなことの数々に、手をつけようという気になれるらしいことだ。何をどう考えても、そんな国家の大事について考えるひまとか、あるわけないやろ。

もうひとつ不思議なのは、これだけ適当でいいかげんな人たちのわりに、「死人に口なし」という発想で、アベ元首相に全部責任おっかぶせて逃げようと誰もしていないことだ。むしろせっせと美化しようとしている。それほどまだ何かが恐いのか、それとも、そんな保身の方法も思いつけないぐらい、頭がまっ白になっているのか。知らんけど。

私は誰かと対立したりけんかしたりする時に、まずすることは、相手の美点と魅力をとことんさぐり、一方で味方の弱点と欠点をとことん洗い出すことだ。その上で宣戦布告する。
 そんな私がもうずっと落ち着かないのは、アベの魅力や能力をいまだに正確につかめないことだ。いったい、どこがよくて、あそこまでつけあがらせて独裁者もどきに成り上がらせたのか、その理由がどうしてもしっかりつかめない。

テレビのニュースなどでちらと見ていると、アベ派がここまで堕落したきっかけは森喜朗だとも言われている。あの老人が麻生と並んで、ずっこけた感覚の持ち主なのはわかっているが、それほどの力を持っていたのかどうか私にはまだわからない。

宮若市の市長が女性は子を産んで一人前とか部下に言ってたとのことで、ワイドショーでは恐ろしくたたかれている。まあたたかれて当然だが、ここまで世の中変わるものかと私はむしろ、居心地が悪い。この市長に同情する気はないが、彼はきっと何がそんなに悪かったか全然わかってないだろう。同じような感覚の首長はまだいくらでもいると思うし、一昔まえなら、こんな発言は普通すぎて、公私ともに気にする人もいなかった。私自身の周囲でも、普通にきちんとした人が似たようなことを、しょっちゅう口にしていたのを私はまるで忘れていない。

あのような感覚は地に潜ったのか、どこかのクローゼットに押し込められたのか。そのことも忘れたように、皆が口をそろえて激怒しているのを、私は歓迎しつつ心から手放しで喜べない。

森だって麻生だって、自民党の大半だって、中身は宮若市長とどっこいどっこいだろうと思う。言いかえれば、それだからと言って、これほど法律もルールもマナーもぶっこわしてふみにじるまでの堕落をする理由がのみこめない。女をバカにし人権を無視し、それでも常識と良識は、わりと普通に守っていたのが保守層であり世間だった。そこを、これだけ崩壊させたのは明らかにアベだが、そこまでの力を彼が持ったわけというか成り行きが、私にはまだつかめていない。

小野不由美の『十二国記』の最新作を読んだのはずいぶん前だ。世界を荒廃させている無能な君主の描写に、私は明らかにアベに似たものを見て、どこまで偶然か知らないが、こういう存在を描くのに、作者はモデルがありすぎて苦労はしなかったろうなと思ったものだ。しかし、それでもまだ十分ではなかったほどに、今明らかになりつつある現実はひどい。

小説であれ他のどんな方法であれ、私は今それをつかみたい。知って、理解して白日のもとにさらしたい。「水の王子」の続編をちびちび書き続けているのも、それと関係があるかもしれない。

明日は大雪になって寒いとか。叔母が昔くれた毛皮のコートを思い切って普段に着てみることにした。突拍子もない派手なデザインなので、高価に見えないのが味噌だ。そして、とても暖かい。このトシだから、いつまで元気に歩き回れるかわからないし、今着とかないで何とする。そんな気分になって来ている。

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カツジ猫