どさどさどさ
新規更新欄を見たらおわかりのように、「研究の沼」コーナーの論文をどさどさどさという勢いで更新しています。
この中でも多分一番おすすめというか面白いのは、「八犬伝」の八犬士を私の「本命・アナ馬・対抗馬」理論で分析した「八犬士の描き分け」だと思います。
実は、この論文、原稿のファイルはあるのですが、何しろ馬琴ですので、漢字とふりがなが異常に多くて、とてもじゃないけど、本にしたものをそのまま読むのでないとわかりにくいと判断して、数千円もする本を「自炊」して、つまりバラして自分の論文の部分だけアップしたのです。どうぞ、その努力も買って下さい。
さっき車で聞いたワイドショーでは、例のコメンテーター、産経の平井氏が、学術会議のメンバーは年間250万円の年金をもらえるとか、ものすごいエリートセレブ集団に見せかけようとする、アホかといいたくなる見苦しいコメントをしておられましたが、ええーと驚いていたスタジオの皆さまも冷静に考えなさいませよ。日本を代表するような各方面の専門的な学者の年金が(しかもおそらく、大抵の人はそれ以外の収入はない)200万程度って、世界の基準で考えて、のけぞる方向が反対じゃないですか。しかも、おそらく世界の先進国の学者と比べて、大学や研究機関の予算は三桁ほどちがうぐらい低予算で、高い書籍も資料も交通費も研究費もおおかた自分で持ち出しという研究環境も、ちっとは話題にしてほしい。
またいずれ書きますが、平井氏は杉本議員の「女性は嘘」云々でも、あきれはてるような擁護論をぶちあげていて、さすがにスタジオの司会者やタレントさんたちも、ちょっとついてけないでいたようですが、しかし思えば、そういう女性や同性愛についての見解では、まあまあわりとまともというか、少なくとも私に近いご意見がワイドショーでも強くなってきているというのは、これまでどれだけ、女性や母親や同性愛の人たちが、傷つけられ、ずたずたにされ、自殺し、心を病み、それでも声を上げ、立ち上がり、戦って、がんばって来られた結果なのだろうと、思わず息を殺すわけです。
それを思ったら、今回のこの学術会議の問題をきっかけに、大学や研究や学者や学問や知性のおかれた状況が今どんなかということを、私たちは、傷つくのも苦しむのも恐れずに、言い続け、声をあげ、皆に知らせて行かなくてはならないと、しんそこ思いますね、あらためて。
しっかしまあ、それはそれとして、私なんかも、金がないし本は買えないのです。その本を解体して載せた論文なので、よろしかったら、ごらん下さいませな(笑)。
そういう犠牲は払ってませんが、「手ぶくろを買いに」の分析をした教育大にいた記念というか、教育学っぽい論文も、こちらはわりとわかりやすいと思うので、ぜひともごらんになって下さい。小さくて読みにくいですけど、どこかをどうかしてたら、大きくなりますので。
あとまだ何かあったかな。思い出したら紹介します。
そして私は毎日、恩師中村幸彦先生の原稿と首っ引きで、江戸の紀行を翻刻していて、合間に好きな小説を読み、奮発して買った冷凍サンマを一年ぶりぐらいに使うグリルで焼いて、大根ときゅうりと熱いごはんで食べ、お刺身のおすそわけで満足した猫が幸せそうに寝ているのを片手でなでながら、友人へハガキを書いたりしていて、毎日ものすごく幸せで、でもこれでいいのか私の未来(あんまりもう残ってないけど)と、何だか不安になったりしている。何か、とても楽しい豪華列車の旅で車窓の風景や車内販売を満喫しながら、何か忘れているような、妙に落ちつかない気持ち。幸福なのか不幸なのか、自分でもよくわからない、ざわざわときめく、おかしな気持ち。どこやら、恋の予感に似ている(笑)。