どっちもこっちも。
◇戦争立法反対の抗議行動をしている学生団体「シールズ」の女性たちを「かわいい子が多い」風にとりあげた「まとめ」について、批判が起こっている。そして、それが「シールズ」や、運動そのものを批判して弱体化させるものではないかという懸念を持つ人、警戒心を抱く人も、いないわけではないようだ。
中心的にがんばっている人たちの中でも、「今この大事なときに、それがそんなに問題なの?」という感覚も、けっこうあるのではないかと思うし、だからこそ、こだわり、怒っている人の中にも「今、言うことではないかもしれない」と、不快感や嫌悪感をあらわにできない人も、そこそこいるのかもしれない。
◇これについて私がしゃべりはじめると、本当にとどまるところを知らない。基本的に私は、「シールズ」はもちろん、この抗議行動にかかわるすべての人たちに、この問題を軽視せず、真剣に考えてほしいし、それは決して運動の弱体化を招きはしないと信じている。
そして、今の時点でこのような問題が出てくるというのも、女性のあり方、扱われ方について、もっと果敢に戦って来なかった、そして、こういう事態を招いた自分の責任も感じている。
だが、その一方、私はぎりぎり、できるだけのことはして来た、これ以上やっていたら私自身が生きていられなかったかもしれないという実感もある。
◇以下は、しょーもないほど長いが、いわゆる「連合赤軍事件」について、女性問題という点から書いた、私の古い原稿だ。弦書房「私のために戦うな」に全文収録されている。古本でなら買えるだろう。
http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~itasaka/wakiyaku/yami.html
これを読んでいただいたらわかるように、学生運動や社会的な運動の中で、女性をどう考えるかについては、本当に難しい状況がいろいろとあった。私自身がもっと斜に構えて書いた小説「従順すぎる妹」(あれ、リンク先は中途までしかアップしてないですね。自費出版したので、古本で買えるかもしれません)にも、当時の状況は反映している。
もっと言うなら、たぶん、森崎和江さんや石牟礼道子さんも何かそういうことを書いておられたような気がするし、戦時中に特高に殺された作家の小林多喜二の小説でも、女性に対する描き方や見方は決して快いものではない(どうでもいいが、私はその点、徳永直の小説のほうがずっと好きだ。「太陽のない街」でも「妻よねむれ」でも「静かなる山々」でも)。
◇またぼちぼちと、このことについては書くが、ついでに言うと、今日の毎日新聞の夕刊のコラムで、またしても宗像市の沖ノ島を世界遺産にしようという話が、何の批判も疑問もなくとりあげられていて、またかよ、まだかよと、しんから、がっくりした。この島が女人禁制であることを、きっちり広報も説明もせず、ずるずると既成事実を作り上げようとしている市政のやり方が、私は首相や政府のものごとの進め方と、あまりに似すぎていて、やりきれない。他にも、宗像市を「神の住む町」とアピールしたり、巨額の予算を使い続けるなど、市民の中からは反対する声も多いのに、それを決して紹介しない毎日新聞が、いくら戦争法案について良心的な記事を書いても、私はどこかで信用できない。
◇もうもう、毒を食らわば皿までというか、せっかく新しいパソコンで書く最初の記事を、こんなもので汚したくないと思いつつ、紹介してやるが、多分首相を支持している人たちに読まれているのだろう、「日の丸街宣女子」とかいう本の表紙をぜひ見てほしい。帯で表紙の下のほうを隠しているが、外した画像(なかなか見つからないですけど。私も一度見ただけで、思わず飛んで逃げました。まあ帯つきでもだいたいはわかります)を見てほしい。醜悪なんてものではない。日の丸にも失礼じゃないですかね、知らんけど。
「シールズ」の女性たちを「かわいい」と写真でめでるのって、この表紙の絵とあんまり変わらない気もするのだが。そして、まったく相反する主張をしている両者が、こういうところでどうしようもなく似ているのって、女はもちろん男にとっても、こんなに救いのないことっていったいあるのだろうかと思う。まあ、絶望はしませんけど。こんな程度のことで絶望していちゃ、これまで私何百回も死んでますけど(笑)。
◇ついでに、上記のアドレスのリンク先は古くなっていますが、アドレスの「www」を「ww1」に変えると、表示されることもありますので、やってみて下さい。
それで見つけた「板坂耀子喫茶室」という、古いページも、おひまだったら、ごらん下さい。私はこれ、もうどっかに消えたと思っていました(笑)。
ここのリンク先も、「www」を「ww1」に変えると、画面が出てくるので、やってみて下さい。
http://ww1.fukuoka-edu.ac.jp/~itasaka/kissasitu.files/kissatop.html