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ないものねだり

少し前、巳年のとき、どこの店にもかわゆいヘビの置物しかなく、そりゃー嫌いな人も多いんだからしょうがないとは思いつつ、できるだけリアルなヘビの置物を探して買って飾ったものだ。今年のネズミもそうで、これも嫌いな人が多いだろうから無理はないが、どうもかわいいのはいやで、どこかリアルなものを買っている。そうするとやっぱり、つくづく思うのだが、ネズミの顔ってグロいよな。「1984年」で独裁政権に抵抗してたレジスタンスの男性が、ネズミ嫌いで、ネズミに顔をかじられそうになって、恋人で同志でもあった女性を売り渡すという、キビシイ場面があったけど、あれは兇暴な顔の動物だよ。

今年の私のお気に入りは、藁で作ったしめなわ風の小さいネズミなのだが、鼻と口のあたりの感じが、別にネズミが苦手じゃない私が見ても、ちょっと恐れをなしそうな形状で、よくもこんな単純なフォルムで、こんな的確な表現ができるなと、見るたび感心してしまう。その内、写真をアップしますね。

猫のカツジが大喜びで私の刺し身をあらかた食べてしまったので、もう彼の好きな白身魚のお刺し身が私の家にもスーパーにもなくなってしまった。彼はチュールとかつおぶしで一応満足しているが、ときどき机の上に座って、世の中にはまだ何かおいしいものがあっただろうという顔で私を見つめてアピールする。それをストレスと感じるのは、私に他に大したストレスがないからだろう。めでたいことなのかもしれない。

正月休みや雨で中断していた、家の裏の造成工事がまた始まったらしい。地固めをしているのか、どしんどしんと音がして、かすかに家が揺れたりする。まあ崖崩れになっても困るから、しっかり整地してもらっておかなくては。

昨日、行きつけの花屋さんに行って、新年初の花を買った。オレンジのカーネーションと白い花と、かわいいチューリップ。とがった葉っぱの好きなカツジがまたカーネーションにスリスリして折るんだろうなと思っていたが、あまり関心を示さない。年が明けて何やらこいつも心機一転したのだろうか。

そろそろ仕事に集中したいし、読みかけの本もいろいろ片づけたいし、授業もそろそろ始まるし、七草粥の素は見つからないし。今日も一日あっという間に終わりそうだ。

写真は、古い写真を整理していて見つかった、多分宇佐航空隊の人たちの写真。おそらく特攻隊で亡くなった皆さんでしょう。田舎の私の家によく遊びに来られていたらしいので、その遺品だと思います。

どーでもいいけど、仕事の気晴らしに、プロ野球関係のファンサイトとかのぞいていると、キャンプやその他の写真で、選手たちが映っている集合写真などがあるのね。「今年こそは優勝するため戦い抜くぞ」などという決意表明とともに。もちろんラグビーやサッカーの選手たちの同じような写真もよく見ます。

その若者たちの顔と姿が、この写真にかぶってしまう。構図や皆の表情が、どこか似ていたりするもんだから。
鍛え抜かれた心と身体の若者たちの、「戦う」というのが人を殺したり、自分が死んだりすることにつながらない決意表明や集合写真って、何て美しいんだろう。そして尊いんだろう。

オリンピックなんて、首相が自分の手柄に利用するに決まってることを思うと、大して気乗りもしないけど、本当は、世界の若者たちが命のやりとりでなく戦うことの素晴らしさを目の当たりに見て確認する催しですよね、あれは。
どうせ日本の報道はメダルの数とか日本選手の活躍とか、そんなことしか言わないし、朝から晩まで日本選手の同じような場面しかくり返し流さないんだろうけれど、せめて、そういう本来の精神を思い出して、外国選手の紹介や参加各国の事情や文化などもしっかり放送してほしい。はいはいもう、ないものねだりだということは、死ぬほどわかっているけれど。

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カツジ猫