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なんかもう、滅入るなあ

ツイッターの方にリンクしておきましたけど、東京都の台東区で、ホームレスの人たちが避難所から閉め出されてしまったとか。むしろ一番先に収容してあげなくてはならない人たちなんじゃないの。もういや。何か本当にいや。

細かいことをまだ見てないから知らないけど、だいたいどうやって、他の人と区別したんでしょ。一時的には皆ホームレス状態で来ることだってあるわけでしょう。見分けがつかない状態で。証明書でも提示させたの。近所の人同士証明させたの。名簿かなんかでチェックしたの。想像したくなくても想像してしまうと、ますます気が滅入る。

フィッツジェラルド「夜はやさし」を読み上げる。最後まで、きらびやかで、絶望的な状況を書いていても、どこか品があって優雅だった。解説が、きっちりいろんな点を指摘していて、それでまた作品が魅力的になっていた。作者が投影された主人公が、妻の財産によるぜいたくな生活を享受しているけれど、むしろそれを批判する存在として描かれているというのも、納得ができた。あるいは、そういう健全さが、この小説に優しさと鋭さをこもごも与えているのかもしれない。

ちょっと困って心配なのは、妻ニコルのモデルの現実の妻の書いた小説を今から読むのだけど、「夜はやさし」以上に好きになれるかな。なりたいのだけど。

一方で、街で衝動買いした一冊の有吉佐和子「悪女について」も、だらだらつまみ食いして、ほぼ読み上げた。昔「週刊朝日」に連載されていたのを読んでいたし、リアルタイムでテレビドラマも進行するという斬新な企画もあったから、そのドラマもほぼ見ていた。だから筋はだいたい覚えていたのだが、読み直すと当時よりむしろ面白かった。今の情報社会では、このヒロインのような生き方は無理そうな気がするが、どこまでやれるものだろうか。ちがったかたちで、悪女になるのだろうか。

豪華絢爛と言いたいほどの多彩な人物の描き分けだが、有吉さんはさすがのうまさで、誰に肩入れしてるのか全然わからない(笑)。ただ思うのは、当時の社会だったら、女性が思う存分男性並みに生きようと思ったら、これしか方法はないだろうという作者の怒りは確実に作品の底にパワーとして流れていると思った。そんなこと、おくびにも出さないが、絶対その怒りはあると感じる。表現されているというより、とにかく、それがなかったら、こんな話は書けないだろうと考える。

最近の読者だったら、嬉々としてヒロインの精神分析をして病理学的に診断して、何か言ったような気がして片づけるんだろうなあ。そんなの何も言ってないのも同然なのに、それも気づかないんだろうなあ。そんなことも予想して、ふと鼻で笑ってしまう。今夜の私はちょっと性格が悪い(笑)。

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カツジ猫