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十月からの授業のための、自費出版の文学史の原稿をやっとこさまとめてファイルで印刷所に送った。歌舞伎関係の章を少し減らして、文学史や思想関係の章を増やしたのだが、和歌の章を入れられなかったのが残念。プリントで配布するかな。
ひと仕事片づいた気分になって、ぐたっとしてるが、本当はこれは全然メインの仕事じゃないのだよ。九月になったら涼しくもなるから一気に進めようと思っていたのに、何だかむしむし暑くって、今夜はとうとう、またエアコンを入れた。ほんとにどうなってるんだろうなあ。
「ユートピア」といっしょに買ってきた森絵都の「みかづき」を仕事の合間に読み上げた。同じ文庫本でも、こっちはかなり厚いのだが、読みやすくて一気に読めた。これはいいなあ。塾の経営を通して、教育問題の戦後史をみごとに描ききっている。ヒロインの千明さんの熱さと鋭さが快い。他の人物のバランスもみごと。そしてざざっとスケッチしているようで、勤評闘争から教育改革、教育基本法、ゆとり教育などの本質とポイントをきっちり抑えて、ヒューマニズムの背骨がしっかり貫かれている。教育はエリート養成だけしとけばよくて、大多数は労働だけする奴隷としての教育で十分という、政府の姿勢までをきちんと紹介してるのにも目を見張った。
私は奥田英朗の小説も面白くってわりと読むが、彼の作品には市民運動とかそういう社会的な活動に積極的な人たちへの反感と警戒が見えることがあって、それが読んでいてつらい。世の中を動かそう、それも弱い人たちのために戦おうとする人たちへの優しさと暖かさと共感がないのがきつい。
これ、まったくの偏見なのかもしれないが、中島京子とか森絵都とか、そういう社会的な目を持って、世の中をよい方に変えたいと思う人を支援する志の人って、「卵を買いに」のエッセイを今読んでる小川糸もそうだが、とても文章がやわらかくて明るくて、ふんわりしたユーモアがある。そして、強い豊かさもある。
学校の先生や教育大の人たちは、この本、読んでみてほしいなあ。きっと楽しめる。
ただ解説が斎藤美奈子なのが参った。私、岩波書店から送ってくる小冊子の「図書」が毎号どのエッセイも面白くてためになるので、つい捨てられずにたまって困っていたのだが、この人の書いたエッセイの、うわっすべりで小賢しいのに、つくづく嫌悪感がつのって、つい、その号を捨ててしまい、それをきっかけに以後はさっさと処分できるようになって、断捨離的には助かってるのだが、「みかづき」の内容や表現や精神とはまったくかけはなれた人としか思えない。片目つぶってななめ読みしたら、とことん大したことは何も書いてない毒にも薬にもならない解説で、逆に腹の立つこともなくてほっとした(笑)。
博多座の「組曲・虐殺」のチケットをコンビニに取りに行ったら、期限の日が過ぎて取り消しになってた。泡くって家に帰ってパソコンで再度挑戦したら、同じ日の同じ時間で、前よりずっと前の、いい席が取れた。やったね。
それにしても「週刊ポスト」の韓国の悪口記事はすごいな。たがが外れてるとしか言いようがない。以前はいい記事も多かったような気がするのだが、いつの間にこうなったんだろ。