1. TOP
  2. 岬のたき火
  3. 日記
  4. ぴかぴかのキャベツ

ぴかぴかのキャベツ

物価は高騰しているが、近所のスーパーはどこからどうして仕入れてくるのかがんばっていて、この前も、きれいなしっかりしたキャベツを安く買えた。一番外側の皮からも食べられて、その下は、ほれぼれするほど、ぴっかぴかの薄緑だ。

うーん、昨日はもっときれいだったんだけどな。ちょっと残念。ほんとに、宝石みたいなんです。

先日由布院に行ったとき、韓国の人たちらしい観光客の皆さんと列にならんで、おいしいと評判のコロッケを各一種類ずつ十個近く買ってきました。身体には油ものは悪いのかもしれないけど、このキャベツを刻んで山盛りにしてひとつずつ食べると幸福でした。
 とうとうなくなったので、昨日は髪のカットに町に行った返り、デパ地下で、またうまそうなコロッケを買いあさってきました。キャベツがなくなるまで、当分楽しめそうです。

足の調子はだいぶいいのですが、それでも町を歩き回っていると疲れてきて足どりが重くなり、ドローンみたいな心の目で自分の姿を俯瞰するに、実によろよろ哀れなさまで歩いていぶにちがいなく、これを若い人が見たら、とっとと集団自決しろと思うだろうなと危機感を感じる。ちなみに私はあのアホな発言をした男や、それにのっかって「老人は社会から退散したらいい」とか言う子どもを見てると、全然ちがうかもしれないが、こっちも無責任なただの連想で言うと、昨今の寿司屋その他で割り箸や醤油差しをなめるやつは、こういう顔をしているんだろうなととっさに思っちゃうのよね。ついでに言うと、このごろちまたで強盗やって人殺してる若者や、関東大震災のとき、朝鮮人を虐殺しまくった人たちも、こういう顔なんだろうなと思い、実際にそういう顔をこの目で見られるということに、変な満足感を得たりする。普通モザイクをかけて隠される汚物だぞあれは。めったに見られるもんじゃあるまい。

しかしまあ、こういうことは、いちがいには言えないからなあ。この何十年かの間に起こった少年少女の凶悪犯罪で、何となく印象に残っているのは、犯罪を犯す子どもたちが、わりとおばあちゃんなど、家族の中の老人に心を通わせて安らぎを得ていたのに、その人が亡くなってしまって、それから精神の均衡を失ったという話がちらほらあったことだ。老人の集団自決をさらりと言ったり考えたりする人の周囲には、そういう老人はいなかったのかなとか、いたがいなくなった喪失感や恨みによる凶悪犯罪の代替があの発言かなとか、逆にすごく悪質な老人が家庭内にいて、父母や自分や愛する人が苦しめられてる反応かなとか、ついいろいろと想像をたくましくしてしまう。もっとも実際には、私は無駄な想像力がありすぎるので、きっとそういう人たちは頭も心も、もっとつるんと平板で何も感じても考えてもいないのかもしれない。

それはとにかく、こっちもいろいろ自衛しないとと、さしあたり持ち歩くバッグを小さくして荷物を減らして軽くすることにした。これで少しはさっそうと歩けるか。何だかナチスの収容所で、朝の行進やらのとき、選び出されてガス室送りにならないように、唇かんでほっぺたつねって、顔色をよくして自衛してたユダヤ人のような心境だ。はっきり言って今の日本じゃあんまりものすごくかけはなれた連想でもない。

私の荷物が大きくて重くなるのは、出先の喫茶店で書き物をしようと思うからで、ノートや手紙用の便箋も極限まで減らして、叔母の残したものすごいレトロなバッグに入れ替えてみた。何かに使いたいと思っていたので、これはこれで楽しそうだ。

私とほぼ同年齢のバイデン大統領の十時間列車を乗り継いでの、ウクライナ電撃訪問にも恐れ入るが、そういうのに浮足立った日本の政権が岸田首相のウクライナ訪問を計画しようとか思い始めているらしいのも、その軽薄さ、みっともなさ、情けなさに腰が抜けて涙が出そうだ。いくら何でも他にもっとできることはいくらでもあるだろ。武器以外に、衣類や食料、電化製品、子どものおもちゃ、送ってあげられるものなんかいくらでもあるだろうに。首相が行くより、その身体の重さの文房具とかんづめでも送ってみようとか考えつかないのかい。

しかも、そういう訪問をするためには警護の体制や非常時の法律が日本にはないとか言い出していて、またぞろ自衛隊の仕事の拡大や国会の手続きの改悪をしようとしてるらしいのが、それかいとあきれてしまう。ほんとに一瞬のすきもなく、火事場泥棒みたいに民主主義と平和を傷つけてこわそうとするチャンスを見逃さないな、この政権。変なところだけ、目と脳が働くように、何かに改造されてるのとちがうか。そういう口実に、ウクライナを使うのが、現地の人には一番失礼だと思わないのか。頭の悪さと品性のいやしさが合体したハイブリッドはもう最悪だ。

バイデン大統領のエネルギーには脱帽するが、もちろんアメリカを手放しで支持や礼賛する気にもなれない。ラジオのニュースでは北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国のミサイルでまた騒いでいて、「日米の軍事演習を口実に」かの国が防衛を増強する恐れについて述べている。「口実」が聞いてあきれる。まんまそれが理由じゃないか。まだ停戦もしてないアメリカが近隣諸国と目の前の海で、どんどん演習を強化拡大してたんじゃ、そりゃ黙ってたらおかしかろうよ、どんな国でも指導者でも。国連のどっかでは、北朝鮮への非難決議をしようとしたらロシアと中国が、「緊張を高めているのは米国の軍事演習」とか言って反対して成立しなかったらしいが、これはロシアと中国の言ってることがまともでしょ。言い換えれば、いらん軍事演習のやりすぎは、間接的にそういう口実もロシアに与え、ウクライナへの世界の支援や団結を阻害する役割もしてるってことだろうが。岸田首相の訪問なんてみっともないこと考えてる場合かい。ついでに言うとどうせまた山ほど金もかかるんだろ。いいかげんにしてほしい。

今日は行きつけのお店が花屋さんも喫茶店も皆お休みなのよね。いつもは行かないところに行ってゆっくりお茶でも飲むか、足をかばいつつ庭の草取りでもしようか。やっぱりルピナスをもう何本か買いたいし、安いパンジーも買いたいし。

Twitter Facebook
カツジ猫