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ほうほけきょ。

◇昨日は一日疲れたのか何もする気がせず、夜中近くなって冷蔵庫の中身をチェックして、期限切れの食材も全部投入して料理を作りまくりました。最近、家で仕事をしようと決意したので食べ物を買いすぎていて、すぐ食べられるおかずから、調理用の肉だのキノコだのもどっさり。
大なべ小なべ二つにわんさか作ったのはいいけど、今度はこれを早く食べなければ、しかも体重は増やさないようにという難題がひかえている。
というところで夜中になったので、なべも食器も何もかもシンクに放りだして寝てしまいました。

今朝起きて、料理をタッパーにつめて冷蔵庫にしまったり、なべを洗ったりしていて、ふと、もういいかげん古くなってるのに、なかなか捨てられなかった洗い物用のスポンジを捨てようかと決意。これ、お客さんがときどき洗い物をしてくれるとき、見られるのが恥ずかしいぐらいすりきれて古ぼけているのに、なかなか処分できなかった。
「長いことありがとね」と言いながら、ごみに出して、新しいスポンジで朝食の後の洗い物をしながら、ふと「前任者の穴埋めは大変なのよ」と、「プラダを着た悪魔」のエミリーがアンドレアの後任の冴えない女性に、松葉づえつきながら言ってたせりふを思い出したりして(笑)。

◇その、ごみを出しに行った帰り、近所の人に何人か会って「あったかくていいですね」「でもまた寒くなるようで」などと話した後で、家の前までくると、「ほうほけきょ」という澄んだ声がしました。
ちょうどお出かけのとこだった、隣家の奥さんと「あらー、うぐいす」「どこにいるのかしら」などと言いながら聞いていました。
もちろん姿は見えません。うぐいすって地味な色なのですよね。祖父が昔家で飼ってたような気がするけど、飼っててよかったのかあれ。

わが家の前には道路をへだてて、小さな森が残っています。まるで芝居の書き割りのような、小さな茂みですが木が皆でかいので、見たとこ立派な森です。パソコンを打ちながらこれを見られるのが、いい目の保養になります。うぐいすは多分そこで鳴いているのでしょう。このへん、ノラ猫さんが多いので、食べられないといいけどなあ。
パソコンで見た朝日新聞のニュースでは、都会ではうぐいすの声も聞かなくなっていると言いますが、この付近には毎年来ます。年によって上手下手があって、初夏になるまで「ほけ、ほけ、ほけっ」としか鳴けないやつもたまにいますが、今年のうぐいすは上手です。「ほうほけきょ!」と一息に鳴いて、滑舌というか切れもいい(笑)。

でも、聞いている内に、原発事故で立ち入れなくなった街に咲き誇っている桜の映像を思い出し、ということは今ごろはきっと梅も桃も満開のはずで、誰も聞く人はいないけどうぐいすも被爆しながら何も知らずに、きれいな声で鳴いてるんだろうなと思うと、うぐいすには申し訳なく人間には腹立たしくなりました。まあ人間はどっちみち鳥にも動物にもろくなことはしてこなかった生き物ですが、それだってものには程度があるだろう。

福島の事故が起こる前、チェルノブイリの映像で、何も知らないコウノトリが現地で巣を作っているのを見て、鳥や獣や魚や虫には避難勧告も出せないのだと痛感し、人類愛にとぼしい私はそう思ったときに何よりも、こういう事故を起こしてはならない、起こりそうな要因は絶対作ってはならないと心から思いました。
それが、このていたらくですからね。自分で自分がいやになる。この国で、原発の再稼働さえとめられない自分が。

◇寝すぎかパソコン打ち過ぎかで、最近背中や腰が痛く、別にまだ動くのに不自由はないけど、いずれは自分のこの身体もすいすい操れなくなる日が来るのだろうなあと予感される毎日です。
それでじゃないけど、ふと10年後の自分の暮らしを考えてみて(私の悪いくせです)、母は多分死んでいる、カツジ猫もひょっとしたら死んでいる、他の猫たちももちろん死んでいる、そういう毎日を自分はどう過ごしているのかと考えてみました。
孤独で淋しかろうとかいう前に、ひまで、のんびりできるだろうなあと思った自分が恐ろしい(笑)。
ただ、抱き合ったりキスしたりできる相手がまったくいない毎日というのはどうなのかなあとは思います。
母にはいつも帰りがけにキスして、うはうは喜ばれているし、カツジ猫やグレイス猫とは、毎日ふれあいまくっては甘いことばをささやいているし(笑)。

友人で、そんなものなしにばりばり生きている人はいっぱいいますが、それは、それに慣れているからで、私みたいに70までスキンシップしまくっていた人間は、それがなくなったらどっか調子が狂うんじゃないかなあ。
年取った金持ちの男が若い奥さんもらう気持ちがちょっとわかったりして。あれ、「自分が死んだあとも、ちゃんと自分が遺してやったお金で幸福に生きていけると安心していられる」って相手と、いっしょに晩年を過ごせるってすごい安心感だと思うのね。相手が同性でも異性でも人間でも動物でも。もちろんどっちが男性でも女性でも。

◇と、またそれで思い出したけど、どっかの大阪市長とあまりにも言うことすることの手法がそっくりで笑ってしまう、アメリカの共和党大統領候補のトランプ氏とやらは私と同い年だって、さっき知りました。ということは、クリントンのだんなの方とも同い年なのか。ヒラリーさんもそうだけど、皆まだまだ本当に元気だなあ。何食ってるんだと言いたくなるよ。

そうそう、毎日新聞は昨日かその前かの朝刊で、国会前の「保育園落ちたのは私だ」の抗議行動を社会面で大々的にとりあげていました。最近社説も含めて本当にいい記事が多いので、いちいち紹介する時間がなくて困ってしまう。

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カツジ猫