ぼくは、ねたよういん
みなさま、おげんきですか。ぼくは、まあまあです。
みけねこの、しなもんさんのぐあいがわるかったので、
かいぬしは、ときどき、しなもんさんのところでねていて、
ぼくは、おるすばんをしています。
このごろ、かいぬしが、てれびのまえにおいていた、
ちいさい、うまのおきものを、ころがしてあそぶのがおもしろいので、きょうも、そこにとびのったら、うまが、ありませんでした。
ぼくが、あたりをみまわしていると、かいぬしは、
「いたずらするから、かたづけたのよ。
あれ、おまえ、そこにあったって、きおくがあるのね」と、
かんしんしていました。
かいぬしは、このごろ、むしのいどころがわるくて、きのうも、だれかと、でんわではなしていて、
「わたしが、このねこの、はなしを、やたらとするのはね、
ほかの、たいせつなことをはなしたくないときの、
じかんかせぎや、めくらましなのに、よっぽど、このねこがすきでたまらないんだろうって
あさはかに、わたしをりかいしたつもりになっているひとがおおいから、
じつに、うんざりするといったらない。
ええ、こいつは、ねたよういんなの。
ほんとうに、すきなもののはなしなんか、ひとにするものか」
といっていました。
そして、でんわをきったあとで、ぼくをだいて、
「ぐれるんじゃないよ~、いくらおまえが、ねたよういんだからって、
そんなはなしをしてきかせているあいてのにんげんよりは、
ひゃくばいも、だいじなそんざいなんだからね」といいきかせました。
かいぬしの、せいしんじょうたいが、ちょっとしんぱいだけど、
かんがえてみたら、これが、ふつうなのかな。