ぼくは、らいげつ、しんだ(カツジ猫)
みなさん、こんばんわ
ぼくは、きょねんの、はちがつのすえに、
きゅうに、ぐあいがわるくなって、しにました。
そんなに、いたくも、くるしくもなく、
ただ、だるくて、ねてばかりいて、
そのうちに、おきようとおもっていたら、
いつのまにか、しんでいました。
かいぬしは、いえのなかから、すぐみえるにわに、
おはかをつくって、うめてくれました。
そこも、いごこちはわるくないけど、ぼくは、ふだんは、
いきていたときとおなじように、かいぬしといっしょに、
いえのなかで、くらしています。
ぼくよりまえに、しんだ、せんぱいねこたちも、いっしょで、
みんなで、かいぬしといっしょに、かいものや、えいがに、
でかけたりしています。
ぼくたちのすがたは、いきもののめには、みえないけど、
かいぬしは、なにかかんじるのか、だれもいないときは、
よく、ぼくたちに、はなしかけます。
このごろは、ぼくのめいにちが、ちかいから、
「あーあ、きょねんのいまごろは、まだ、おまえは、
ふつうに、げんきで、いなくなるなんて、
かんがえもしなかったのになあ」と、
ためいきをついて、いたりします。

「つきめいにちは、ずっとしていたけど、
ほんとうの、めいにちは、はじめてだよね。
なにか、とくべつなことを、したいけど、なにがいいだろう。
なんか、きぼうとか、あるかい」と、
このまえ、ぼくに、ききました。
いっしょに、くらしている、せんぱいねこの、きゃらめるさんや、
くろねこの、あにゃんさんや、しゃむねこっぽい、みるくさんに、
なにか、おもいつかないかと、きいてみたけど、みんな、
「そうだなあ」と、くびをひねるばかりで、
「いまのくらしは、いきていたときより、どこにでもいけるし、
あつくも、さむくもないし、つかれないし、
いきていたときより、かいてきだから、
とくに、ほしいものと、いってもなあ」と、いっています。
おもやに、ほかのねこたちといる、しょだいねこの、おゆきさんは、
「そりゃあもう、そんなことより、なによりも、
ちらかったいえを、ふたつとも、かたづけてもらうのが、
いちばんの、きねんになるのじゃないかね。
おもやも、はなれも、すっきり、かいてきになったら、
かいぬしほんにんにも、いちばんの、きねんびになるよ」と、
だんぼーるの、やまのなかで、かおをあらいながら、いっています。
はいいろねこの、ぐれいすさんも、
「そのことは、あたしがずっと、いってるんだけど、
かいぬしは、さっぱり、かたづけにかからないんだから。
いえが、きれいなときは、どうだったか、
もう、あたし、わすれてしまったわ」と、ふきげんそうです。
「まあ、むりをして、からだをこわされちゃ、
もともこも、ないからねえ。
きながに、のんびり、まつことだよ」と、
おゆきおばさんは、ゆうゆうとしています。
かいぬしも、がんばってはいるようで、
このまえのあさは、ぼくのおはかのまわりを、きれいにして、
かれたはなのかわりに、あたらしいはなをうえて、
いっぱい、しげっていた、みょうがを、きりとりました。
そうしたら、みょうがの、したのほうに、
いっぱい、めがでていて、かいぬしは、よろこんで、
「こんなの、すーぱーじゃ、ぱっくで、にひゃくえんで、うってるよ。
きゅうりと、あえたら、しばらくおかずにこまらない。
さいわい、わかめも、だいぶあるから、ちょうどいい」と、
うかれていました。
まあ、ぼくからの、ぷれぜんとと、おもってくれたら、いいさ。
いちねんもたつと、ぼくのからだも、ほとんど、つちになりました。
おはかのうえに、のっていた、まるい、おおきなたいるも、
だいぶ、したにしずんできて、まわりのすなが、かぶさってきたりして、
「なんとかしなくちゃ」と、かいぬしはいっていました。
けさ、みずをまくついでに、とうとう、たいるをどけて、
うすいれんがのかけらを、したにしいて、たいるをたかくして、
まえとおなじ、たかさにして、きれいにもとどおりにしました。
「おっ、かっこよくなったじゃないか」と、
きゃらめるさんは、ほめてくれて、たいるのうえに、ねそべって、
「つめたくて、すずしくて、きもちがいいぞ」とよろこんでいます。
きゃらめるさんのおはかは、おもやのよこの、なかにわにあって、
いまは、くさぼうぼうですが、かいぬしは、きにして、
ぼくのおはかに、はなをうえるときには、
そのまえに、かならず、きゃらめるさんの、おはかのそばの、
うえきばちにも、はなをうえます。
いまも、あたらしいはなが、うわっています。
「そろそろ、あそこのくさも、とらないとね」と、
かいぬしは、いっています。
おゆきおばさんのおはかも、そのそばなので、
そこもきれいにしなくてはならないから、
かいぬしは、なつは、ずっと、いそがしそうです。
これはまだ、きれいにするまえの、ぼくのおはかだけど、
ざっと、こんなかんじです。

このうえには、うめのきと、さるすべりのきが、てんじょうのように、
おおいかぶさっていて、いまは、さるすべりのはなが、いっぱいに
ぴんくいろのはなを、さかせています。
なかなか、ごうせいな、かんじです。
かいぬしは、これいじょう、なにをするつもりかな。
とんでもないことを、かんがえつくんじゃないかと、
ちょっときになるけど、つい、かんがえてしまうんだよな。