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朝が勝負

朝起きて、暑くなる前に水まきに行くのだが、昨日は奥庭でユリの残った長い茎を切り倒していたら面白くなって、つい時間をとり、前庭と中庭まで水まきしたところで、水分補給もかねてエアコンの効いた家に逃げ込んだ。したらば、ぱったり討ち死にして、そのまま昼間で寝てしまい(眠っているのではない、疲れて身体が動かない)、表庭と横庭はついに夕方まで水をまけなかった。植えたばかりの安物の花や、しぶとく栄えてくれている表庭のカーネーションがどうなっているか気がかりで、しかしもう、食事をするのがやっとだった。ようやく夕方水をやったが、からから乾いた鉢の中で、花も木もしぶとく生きていて、情けないけど、神や仏に感謝したぜもうまったく。

そうやって、バテ寝してる間に、つけっぱなしのテレビを見てたら、国会中継をやってて久しぶりに高市首相のご尊顔を拝した。そうしたら答弁があいもかわらず、何の内容もなくすっからかんで、「日本は私はいい国だと思いますよ」などと、鼻にかかったしとやかな声で答えていて、もう脱力どころか身体中の骨が溶かされて行くような気がして、へたりつくした。
 あんまり内容がないから、支持者の方々には、あれが余裕に見えてしまうのかもしれない。というか、そうでも思っていないと、虚しすぎて世の中をはかなみたくなる。

別の番組で、ゆうべか今朝か、例の金まみれの福岡県議会のドンとか言われる議長の人が、外国から帰って来て空港でインタビューに応じていらした。国際的な獣医学会に参加してスピーチをして来られたそうで、「楽しかったですよ」と、のたもうていた。ということは、この人獣医さんなのかしら。たしかにお医者さんによくありそうな、品が良くて落ち着いて、感じのいい、自信満々余裕綽々という風情で、そりゃまあ、まきあげまくったお金で最高級のホテルに泊まって豪勢な食事をしていたら、こうもなるのかもしれないなあと、つい思ってしまいそうだ。

どーでもいいけど、首相にしろ議長にしろ、これだけ落ち着いていられるのは、逆らう人や不快な人が誰も周辺にいないから毎日ストレスがないのかもしれないと、ふと思ってしまう。そうでなければ、これだけ世間で怒りや抗議や失望がうずまき、ぐつぐつ沸騰しているのに、ここまで優雅にのほほんとしている理由が見つからない。少なくとも私には。

でもさあ、それってマジで不安じゃないのかしら。私なんか、志を同じくする仲間の集会でさえ、あんまり皆が一致団結して同じようなことを言って、それが私にすべて共感できるものだと、不安で不安でたまらなくなるのに。

私の親友は、いろんな趣味や日常の感覚が、あっちこっちでものすごく私とちがう。ときどき私がぶちきれるが、多分相手は何を私が怒っているかわからないだろう。それとはまたちょっとちがうが、以前職場で、私が何かというと相談して考えを聞いていたのは、もう人生観から政治信条から価値観から美学から何から何まで、私とは正反対で、私がまったく思いつかない発想をする同僚だった。おたがいに卑怯なことや汚いことはしないと知っていて、その点では信頼があったが、とにかく、宇宙人より台所のたわしより、まだ予測も理解もできない相手で、まああっちもそうだったろう。でも、その存在は私には大いに貴重だった。その人の意見や感覚を知っておけば、水平線や地平線のかなたの人類や、ひょっとしたらイグアナやタスマニアデビルのことも理解できているという確信があった。

今も別になつかしくはない(あっちもそうだろう)、特に会いたいとも思わない(あっちもそうだろう)、しかし、いろんな問題にふれるたびに、彼ならどう考えるだろうと思うことはときどきある。そして、たいていは、そのどれについても、まったく予想もつかないことに、自分の限界を感じたりもする。

そういう感覚を首相や議長は持たないのだろうか。それで生きていて不安はないのだろうか。つまらなくはないのだろうか。つくづくそれが、不思議でならない。

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カツジ猫