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まぜこぜ

なかなか書けないイスラエルとアラブの問題なんだけど、とにかく私の、うろおぼえの基本知識としては、

1.あそこはエルサレムがイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の聖地になってる大変な地区だけど、それでも昔は別に平和に共存していて、「宗教は紛争の種」という理屈は通用しない。

2.何かともめはじめたのは、英仏とか欧米とか列強とか、そういう自称先進国が、イスラエルの国を勝手にそこに作ったから、もといた人たちが追い出されて、これが紛争のもととなった。よって、責任と原因は、そういう強国にすべてある。

まあ、この二点でした。それに加えて、ミーハー的な記憶で覚えていたことが大きく言って三つある。

1.映画「アラビアのロレンス」で、あれはロレンスのピーター・オトゥールのなまめかしさと、砂漠の圧倒的蠱惑的美しさで、ついそっちに気をとられてしまうのだけど、実はロレンスの悩みも戦いも、アラブを政治的駆け引きの道具にして利用してふみにじった英国政府その他への怒りに基づくものだったのが、本当はものすごくしっかり描かれていて、のたうつように、その視点と描写が全編をうねりまくっている。そのことに見れば見るほど気づかされる。

2.多分「ジュリア」でアカデミー賞とったときのスピーチだったと思うけど、女優のヴァネッサ・レッドグレープが「シオニズムは許せない」という、政治的に過激な大演説をした。そしたら審査員だか誰かが、「レッドグレープさん、ここは政治的な演説をする場ではない」とめちゃくちゃたたいて批判し返した。
 私はシオニズムが何なのか、そのときはまだよく知らず、ただレッドグレープは外見も演技もすべて大好きだったから、その役員?に納得はしなかったし、そのすぐあとで受賞した誰か別の女優が、レッドグレープへのあてつけみたいに、いかにもかわいらしく政治なんて知らないって風に「うれしーい、うれしーい」とキャピキャピ無邪気にふるまってるのを見て、すごくムカついて、その女優が大嫌いになったのだけど、はて誰だったっけ(笑)。

その後、当時の同僚に、レッドグレープがかっこよかった話をすると、「でも、むちゃくちゃ批判されてたじゃない」と言われて、ちゃんと反論できなかったのが今でもくやしいんよね。

3.そして、これはわりと最近、海外ドラマの「セックス・アンド・ザ・シティ」で、英国国教のお嬢様のシャーロットがユダヤ人の男性と恋をして、将来のこととか話してるとき、ホロコーストの話が出たら、「ホロコーストのことを出されたら、もう何も言えないわ」と嘆いた場面。

こういう、ばらんばらんの記憶の断片やなんかが、まぜこぜに、どことなくからみあってたわけなんですよ。

それが、先日旅先のホテルの深夜にテレビを見ていて、パレスチナの歴史とかを確認していたら、まあ、基本的に私の認識に誤りはなかったことはわかったのですが、新しくしっかりまるで、骨組みに壁土を塗り込むように補充されたのは、「イスラエルのやって来たことって、ほんともう、めちゃくちゃやん」という実感でした。

そりゃ根本的基本的に悪いのは、パレスチナの人たちが居た土地にいきなり「ここはイスラエル」と言って国を作って、そこにいた人たちを追い出した列強諸国ですけどね。そうやってもらった国を必死で懸命に守って行こうとしたイスラエルの人たちも、そりゃ他にどうしようもなかったのはわかるんですけどね。

でも、何の理由もなく長年住んだ土地を追い出されて、その外の荒れ地にキャンプ張って難民として暮らすしかなくなったパレスチナの人々は、それは耐えられないなんてもんじゃないですよ。しかも通りひとつ隔てた向こうには、かつて、ってついさっきまで自分たちの暮らしていた街があって、それをイスラエルの人たちが、どんどん作り替えて、通りの名や町の名まで新しく変えて行く。許せないし、我慢できませんよ、私なら。そして、都合のいいように壁を作って水路も絶って、キャンプでの生活でさえ成り立たないように、ずんずん領土を広げて変えて行く。

で、ついに難民キャンプじゃアラファトが、武力の暴動を呼びかけて、PLOって解放戦線を作る。これで救いのなさすぎるテロや戦争に皆がはまりこんで行くんだけど、私に言わせりゃ、アラファトもPLOも絶対に悪くない。いや、そういう方法を選んだことは救いがないけど、あのまま黙って我慢し続けて、イスラエルのしたいようにさせておくというのも、私の感覚じゃ考えられない。

その後もずっと和平の試みは続くし、アラファトもけっこう譲歩もして和平に協力もしてるんだよね。でも、イスラエルの強硬派、シャロン首相を中心としたこの路線がまあシオニズムなんだっけ、それが抵抗し、その背後にアメリカのイスラエルの後押し、さらに軍事産業の後押しがあって、毎回和平は挫折する。

いやはや、こんな雑なまとめでいいわけはないんだけど、とにかく、イスラエルは「ホロコーストを持ち出されたら、もう何も言えない」という世界の人々の弱気をいいことに、自分たちのされてきたと同じような、差別や閉鎖や圧迫を、パレスチナの人々に加え続けてきたんですよ。今のガザを見てもわかるでしょう。ハマスを絶滅させるって、できるわけないことにこだわって、未熟児の赤ん坊を殺しまくって平気なんですよ。そういう感覚を養って育てて来たんですよ、あの国は、そして世界は、私たちは。

あー、今日の仕事もまだまだあるので、このへんで。写真は、奥庭の伸びすぎたバラが、下に曲がって来たのを切り取って、花瓶にさしたら元気がないので、先だけ切ってびんに入れたもの。そうしたら、しゃんとして、うっとりするほど鮮やかな真紅の花を咲かせています。明日は茎を鉢に挿して、根付くかどうか試してみよう。

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カツジ猫