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まだむさんと、こみー(カツジ猫)

みなさん、こんばんわ

うえの、おもやにいる、いぬや、ねこの、まとめやくは、
しょだいねこの、きじねこの、おゆきさんです。
 もう、さんじゅうねんいじょうまえに、しんだのだけど、
しんですぐ、かいぬしのくるまにのって、
かいぬしのこきょうの「うさ」のいえにもなんどか、あそびにいったって。

うさにも、おおきないえがあって、かいぬしが、こどものころからいた、
たくさんの、いぬや、ねこや、やぎや、ことりが、いまもくらしています。
 そこのまとめやくは、おおきな、しろがおおい、みけねこの、
まだむさんです。
 まだむさんは、かいぬしが、まだとてもわかいころ、
にわにはいってきた、きんじょのいぬを、
おいだそうとして、かみころされたそうです。

まだむさんが、こどもの「こみー」とうつっている、
とてもふるいしゃしんが、おもやのろうかに、かけてあります。
 「こみーさんて、どんなねこだったの」と、おゆきさんにきいたら、
「まだむさんは、こみーのはなしは、しなかったねえ。
わたしがいったときには、すがたがなかったきがするよ。
あのいえには、いるはずだけど、どこかにでかけていたのかもしれない。
 あのしゃしんでは、まだこねこだけど、
もうかなりおおきいのに、おちちをもらっているでしょう。
 ねこのははおやは、たいてい、こどもがおおきくなると、
なかがわるくなるものだが、かいぬしのはなしだと、
まだむさんは、こみーがもっとおおきくなっても、
おちちをのませたり、こみーがうんだこねこたちの、せわをしていたらしい」
 と、はなしてくれました。

「かいぬしのはなしだと、こみーは、めずらしくもない、へいぼんなきじねこで、
どうして、とっておかれたのか、わからないって、かいぬしはいってたよ。
 そのころは、たいていのこねこは、すてられて、すぐしんだらしいからね。
 それか、よそのうちにあげるとかして、いえには、のこさなかったのさ。
 こみーは、いっぴきだけうまれて、それで、みのがされたのかもね。
 せいかくも、ぶきようで、こそだても、ねっしんだったけど、
こねこたちが、うごきまわるのを、ひっしで、くわえて、あつめては、
へとへとになっていたってさ。
 ところが、まだむさんは、どたっとねたままで、
しっぽをくるんくるんばたんばたんとうごかして、こねこたちは、
みな、それにじゃれついて、むちゅうになって、あそんで、
つかれて、ねてしまうんだって。
 ちっとも、くろうをしないで、こねこたちを、あつめて、あそばせて、
つかれもせず、ゆうゆうと、きれいなままで、
『さすがは、まだむ』と、みなが、かんしんしたらしい」

「こみーは、ずっと、ははおやのまだむに、ちゅうじつだった。
よそのねこや、いぬが、にわにくると、にひきで、おいだしていた。
よそもののねこが、きのうえにのぼって、にげると、
にひきで、きのしたで、みはっていて、
かわるがわるに、ごはんをたべにきては、こうたいして、いたから、
すごい、ちーむわーくだと、それもみなが、おどろいていたそうだよ」

「こみーさんは、どうしてしんだの。
そんなに、なかがよかったのに、おゆきさんには、まだむさんは、
こみーのことは、はなさなかったの」と、ぼくはききました。

「どうしてしんだか、かいぬしもおぼえていないらしい。
いなくなってさがしたとか、ひどいしにかたをしたとかじゃなかったようだから、
びょうきにでもなったのかね。
 あのころは、そうだったらしいよ。
 すうっときえて、わすれられるのが、ほとんどのねこだったのさ」と、
おゆきさんはいいました。

「まだむさんは、もちろん、さびしかったろうとおもうよ。
でも、かわったところは、みせなかった。
 たよりになる、あいぼうの、こみーがしんでも、
げんきで、ようきで、つよくて、ゆうゆうといきてたそうだ。
 でも、さびしかったのじゃないかね。
 わたしとは、いろんなはなしをしたのに、こみーのことだけは、
はじめからいなかったように、いちどもいわなかった。
 ここだけのはなし、こみーがいたら、としをとっていても、
よそのいぬなんかに、まけなかったのじゃないかね、まだむさんは。
 でも、それもみとめるのが、いやだったんだろう。
 たいせつなそんざいだったから、わすれることにしたんだろうよ。
 はじめから、いなかったみたいにね」と、
おゆきさんは、いいました。

「でも、いまはまた、いっしょにいるんだよね」と、ぼくがいうと、
「そうだとおもうよ。かいぬしが、まだ、こみーさんのことをおぼえているから、
あのいえで、まだむさんと、なかよくやってるはずだよ。
 にひきのことをおぼえている、にんげんもいきものも、
もうみんな、しんでいなくなってるけど、かいぬしが、いるあいだは、
まだむさんも、こみーも、むかしのままで、いつまでもいっしょさ」と、
おゆきさんはいって、ぼくのかおをなめました。

「こみーさんに、あいたいな」とぼくがいうと、
「ぶきようで、ようりょうもわるいし、たぶん、ひとみしりだから、
よっぽど、さがさないと、みつからないだろう。
 はやくしないと、かいぬしがしんでしまったら、
きえてしまうかもしれないよ」と、
おゆきさんは、ぼくを、おどかしました。
 じぶんだって、まだ、あえていないくせにさ。

でも、まだむさんは、こみーさんと、あわせてくれるかな。
 おゆきさんとちがって、ぼくはまだ、
まだむさんとも、そんなにはなしをしていないからな。

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カツジ猫