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めでたいけど、脱力

はふー。
ここんとこ数日、確定申告の医療費控除の書類作りに奮闘していました。
毎年、そこそこ医療費は使うのですが、控除対象の10万円には届いたことがない。
でも去年は、あっちこっち身体にガタが来て、けっこういろんな病院に行ったし、治療も受けたんで、いくら何でもオーバーしてるだろうと思って、山ほどの領収書を仕分けして、見つからないのは電話もして金額を確かめたり、さんざん努力して出た結果はさー。

今まで使ったこともない生命保険の保障金が初めて下りたりした結果、いつもの年より医療費の自己負担分は減って、控除対象には遠く及ばなかった。
いいよ、保険会社には感謝するし、たいがいいろんな薬や治療やあったのに、そんなに高い金額ではなかった日本の保険制度と医療制度には、土下座したいぐらい感謝するよ。そういう制度や体制や政治を、選挙や何かで守ってきた自分のことも、少しはほめてやりたいよ。

たださー、この数日の努力は何だったのかと思うとねー。そして結局、今の私がこんなにお金がないのは、体調崩して病院通いしたせいじゃなくて、庭の美化とライトノベルに入れあげて、無駄遣いしまくったせいだとあまりにも明らかにわかっちゃったのがなー。

まあいいですよ。とにかく市役所に行って、優しい税理士のお姉さんに助けてもらって、申告は無事にすんだし、庭もライトノベルも、私の健康回復には一役も二役もかったと思っているからね、無駄なようでも無駄じゃないし。
ただもう、安心と脱力で、放心しちゃっただけの話。プーチンはあいかわらず原発攻撃しているし、もう本当に核攻撃してると同じで、こいつこういうことにまったく抵抗感ないんだな。そういう感覚のバカは多いけど、実行できる権力を持ってるというのが救われない。

小説「クオ・ヴァディス」で、キリスト教徒の虐殺ショーをくりひろげて陶然としてる皇帝ネロを見て、ペテロが「おお神よ、なぜこのような人物に、こんなに大きな権力をお与えになったのですか?」とか述懐するのが、思い出されてならないよ。

古い荷物の中から今度は叔父の写真が出てきた。叔母と海外旅行したり、立派な服装で会食したりしてる写真はいやってほどあるんだけど、これは自宅のマンションのベランダで、世話をしていた草花の鉢といっしょに撮った、飾らないのもいいとこの写真でとても珍しい。このベランダもなつかしい。アルバムにも貼られず、むぞうさに紙の間に突っこまれていた一枚なのに、思わずまた安物の額に入れて玄関の母の写真の横に飾ってしまった。なかなかに、いい感じだ。

叔父は良識のある温厚な人で、お医者さんで裕福だったから贅沢はしていたと思うけど、その割にはほどよく質素で堅実な暮らしぶりで、叔母を愛して大事にし、私たちのこともいろいろと助けてくれた。この写真には、そういう生き方や人柄が自然に出ていて、叔母や母たちと同様に私の人生の守り神の一人だったのだなあという安心感が、この写真がここにあると、こみ上げてくる。

そうそう、キッチンのシクラメンの花は七つに増え、しかもまたつぼみが出ていた。うれしいけど恐い。どこまで行くんだろう。

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カツジ猫