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もぐらたたき

あんまり腹の立つことが多くて、もぐらたたきをしているような気分になるから、さしあたり二つだけ怒っとく。

河野大臣にいろいろ言ってもしかたないんだけど、この人こういう人なんだからさあ。しかし、いくら何でもマイナンバーカードについて、医療現場や関係者が抗議してるのに、「法律で決まっているから、お医者さんがどうこう言ってもしかたがない」って、あのさ、あなたほんとに政治家ですか? 法律を作ったり、変えたりできるし、それが仕事じゃないんですか? 「法律で決まってる」って、それあなたが作ったんでしょ? もう何が何だかわからず生きてるんじゃないですかね、この人は。

ジャニーズ問題について政府は対策どころかコメントもようしないのね。昔々、女性へのレイプが何の罪悪感もなく語られたり話題になったり報道されたりする中で、私は気分的にのたうちまわって生きてたけど、その時ずっと頭のすみに、「相手が女性でも男性でも、レイプされた男性がいたら(いるはずなんだけど)、こんな世の中、本当の地獄だろうな」という思いがあった。女性が被害者で、これだけふみにじられバカにされてる世の中で、「男性の分際で」そんなクズみたいな女と同じ目にあったやつなんて、いろんな意味で、あらゆる意味で抹殺し軽蔑し無視しなきゃ、被害者の女をバカにもできないんだろうから、そういう被害にあっちゃった同性の男性は、裏切り者で下の下で人間以下だと思うに決まってる、こんな世の中の人たちは、と感じてた。言ってる意味、わかりますか? わからんやつは死んどいて。と言いたいぐらい、私にはこの感覚は強烈です。

だから、そういう男性がいたら、女性以上に絶対に、声なんか上げられないだろうと思った。どんなに孤独で苦しくて、世界も人間も信じられないだろうかと思った。私はそういう人たちをさがせなかったし、つながれなかった。ただ、「ハイト・レポート」を読んだとき、私は女性版より男性版の方が好きだったし、その中でもレイプされた男性たちの告白に深い共感と安堵と尊敬を抱いた。自分の小説の中でも、そういう設定をどこかで書いたし、その後大きなブームになって今は定着したボーイズラブの走りのやおい小説で、男性がレイプされる場面が量産されたのも、女性たちが抱く、私のような感覚と無関係ではないと感じる。

そして、現実に私がそういう予感をしていた同じ時代に、そういう被害にあった男性たちが大勢存在したことの、どういうか、「やっぱりそうか」という実感と、あらためてわく怒り。もう老齢の人までが被害を告白しているのを見て知って、心の底からわく、おののき。自分が予想していたものの数々が、たしかに現実に存在したのだという、悲しみと、あえて言うなら、あまりに苦い喜びと。

決して、この事件だけではない。まだまだ埋もれている被害者や加害者がいたる所にいるはずだ。それを支えて許す社会が、こんなに健在なのだもの。政府からマスメディアから、こんなにまだまだしれっと他人事なのだもの。
 告発した人たちの、長い苦悩と絶望を思う。今、それを公にするにいたった決意と覚悟のすさまじさを思う。そんなことを予想も想像もできず、何だか当惑した表情でぼやっと見守る人たちさえもが、私は今、すべて憎い。フェミニストの人たちは、このことについて、どういう感想を持っておられるかも気になってならない。これに今こそ連帯しなければ、支持しなければ、フェミニズムなんて少なくとも私には、決して信頼できない。

庭では今年最初のジンジャーの花が咲きました。さっそく部屋に飾ったけど、あまり香りがしないのね。コロナかしらと心配になって、毎日くんくん嗅いでます。うん、さわやかな香りがちゃんとするのよ。でも部屋中に広がらないの。しゃくにさわるから、その内にお花屋さんで大きなユリでも買って来たろかなあ。

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カツジ猫