アベとトランプ
トランプ大統領の関税引き上げに各方面大騒ぎしている。ニュースを見ていて、一番頭にくることは、特に根拠も論理もなく、ぼんやりと漠然と「アベ首相はうまくやってたのに」「今彼がいてくれたら」みたいな雰囲気や文脈での報道がけっこうあること。すっとぼけるなよ、トランプの、ついでにプーチンの言いなりになって、なめられっぱなしで日本を売り渡したのは、他ならぬあの首相だろうに。
まだしも右翼や財界がわかっていて言っているのならいいが(よくないが)、大して勉強も資料収集も考察もしないまま、適当な聞きかじりの印象で、そういうことをれっきとしたアナウンサーや司会者が口走ってるのが許せない。やつあたりかもしれないが、どうせ今夜の宴会や接待の計画や部下の上納のやりくりで忙しいから、しっかり自分の頭でここ数年の歴史を検証するひまもないんだろと言いたくなる。
アベ首相の屈辱外交のおかげで、どうせトランプやアメリカは、今後関税と引き換えに日本は前線で血を流せとか言ってくるに決まってる。石破首相がどこまで粘って拒否できるかはわからないが、こんな国や報道機関は、どうせ唯々諾々とそれを認めて受け入れて、日本をアメリカの前進基地にしてしまうんだろ。予想がつきすぎて、あくびも出ない。
朝ドラ「あんぱん」の評判がいい。前の「おむすび」と比較してほめるコメントも多い。私は朝ドラをちゃんと見たことがないから、そのへんの評価はよくわからないが、たしかに、先日の、幼い子ども二人に見送られて田舎の道を母が遠ざかっていく場面などは、実に美しい、ちょっと無気味な感じさえするみごとさだった。乱れ咲く彼岸花(だっけ)の赤、鮮やかな母の着物、何もかもが夢のような映像で、いい意味で意図的に構成されているのに目を見張った。
たしかに「おむすび」には、こういう場面構成はなかったなあ。糸島にしても博多の町にしても、それなりの特徴や美しさはあると思うのに、それがまったく描かれず、どこにでもある田舎と町に見えた。「あんぱん」は絵が重要なドラマだからかもしれないが、明らかに町も田舎も、現実離れした(いい意味でね)制作側の画作りがなされている。大河「べらぼう」も「虎に翼」もそうだけれど、ドラマや映画って、ふだん見ている現実の風景を再構成してリアル以上のリアルを作り出してくれるものだ。そこを作り出せないほど対象を熟知して没頭しないと、意味がない。
風景じゃないが「おむすび」は、ギャルや震災に対しても、そこのところがなかったなあ。だからさっぱりわからなかった。…って結局私も比較して批判してしまっているが(笑)。