アリエッティの余波
ってわけではありませんが、「床下の小人たち」とその続編のいろいろに読みふけってました。
「野に出た小人たち」を手に入れそこなってるので、まだそこが飛んでるのですが、まあそれも楽しみです。
この話、昔子どもの時読んで、あんまり好きじゃなかったんですが、それは今読んで、よくわかるなあ。この話、ある意味相当、高級ですよね。毎回、導入部はいたずらにややこしいし。それと私は子どものころ、大人に子どもが叱られて、しかも大人が正しい話って、文句なしに大嫌いだったし、その上、私は今でも多分そうだけど、家が好きで、定住が好きで、だから、いごこちいい家を見つけて、整えたとたんにそれがだめになる、というこのパターンは、ものすごく耐え難かったはずです。まー、耐えてたら、それに慣れて、今とちがった人格を獲得できていたかもしれませんが。
大人と子どもの関係は、当時それがいやだった自分の気持ちはしかたないと思うんですが、でも、今それがあまり気にならなくなって読むと、とても厳しい美学に満ちた話ですよね、このシリーズ。
運がよくて、めぐまれて、どんどんぜいたくな物を与えられても、決してそれに甘えてはいけないという、この姿勢。人間に甘えない、独自の生活を守るという誇り。現代の文化の中でこれを読んでも、すごくリアルに胸にせまってきます。
ただ、この心意気を支えるのは、ほんとに正当で伝統的な「家族」なのですよね。たのもしくて、あくまでも男らしいお父さん。しっかりしていて、でもかわいいお母さん。
このお父さんのすごい我慢強さなんて、決してこわもてではないけど、まったく理想的な男です。ヒーローです。人の上に立つ人はこうでなくてはなりません。
で、私は、男がこうで父親がこうな世界が、もう身震いするほどいやだったのだから、夢中になれなかったのはしかたないですよねー、つくづく、そう思う。
やむを得ないのですが、こんな行き違いで、こんなにすてきな世界というか、精神というかを味わえなかったのは残念ですね。まあ、読書って、そんなもんだとは思うけど。
最近このブログじゃ、連載もんがはやってるようなので、私も「邪道な読書」みたいなシリーズを書き始めてみようかなあ。