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オデュセウスのベッド。

◇カツジ猫も書いていますが、実家から移動させた叔母と叔父のベッドは、どちらもセミダブルでものすごく重く、年をとったら自分で動かせる家具しか買わないと決めている私のポリシーとはかけはなれていますが、寝心地があまりにいいので、しかたがありません。

ギリシャ神話のオデュセウスは、20年にもわたる不在(トロイ戦争に行って、木馬とか作ってた)のあと、苦労を重ねて故郷に帰ったのですが、ギリシャ神話中一番の賢婦人かもしれない奥方のペネロペイアは、いまひとつ本人とは信じられず(わかってても、いやみでやったかもしれん)、試しに、「とにかく今夜はお泊りを。夫のベッドを客間に運ばせましょう」とか言います。
それでオデュセウスは怒って、「私は地面に生えた四本のオリーブの樹をそのまま四方の柱にして、自分でベッドを作った。あのベッドを移動させることなど誰にもできるはずはない」と言います。
それで奥さんは、確かに夫と確信し、喜びの涙にくれる、という話。

何かねえ、フランス映画の「かくも長き不在」の奥さんも、こういうチェックができたらよかったのにねえ。あれは、ほんとに切ない映画です。

まあ、つまらんこと気にすると、しっかり育った後のオリーブだったんでしょうね。若木で、その後伸びたら、ベッド宙に浮きますやん。それか生育度に差があったら、ベッドななめになりますやん。

ともかく、オデュセウスのベッドは動かせないわけです(笑)。私の今回運び入れたベッドも同様、もう私が死ぬかこの家から出て行くかするまで、床から生えたように、このままにしとくしかないでしょう。私はけっこう模様替えが好きで、家具とか移動させるんですが、この二つのベッドはもう、作り付けだと思うしかないね。

◇そのベッドで夜、最初の一夜を明かそうと、カツジ猫と遊んでいると、親友から電話がかかって来ました。「アナと雪の女王」を見たよ、という報告で、「あんたが悪口言ってたし、わたしゃ人に影響されるから虚心坦懐に見られたかどうかわからん」とか言ってました。
「それにしても、あの映画に10以上もブログの記事を書くとは」とあきれるので、「昔から私は、蟻をつぶすのに戦車ひっぱり出す人と言われとるのを知らんのか」と、うそぶいておきました。
まあ、彼女の感想とかは、またゆっくり。

彼女は朝ドラファンだったのですが、今週の「花子とアン」は見る気になれずにいるそうです。長く中学の先生をしていたから、あの学校場面の描写には血が騒ぐらしく、「人を貧乏とか言っていじめる生徒なんか、教師は絶対に許さん。昔だから当然体罰もあるし、一言でもそんなこと言う生徒がいたら、即ぶったたくはず。あんなことが許される、許されてたみたいなこと描かれると、あれでいいんだと今の生徒に思われて、教師も学校もいい迷惑だ」と怒髪天を衝く勢いでした。

◇昨日は大飯原発再稼働差し止めと、自衛隊の夜間飛行禁止と、二つともまともな判決が出て、ちょっと普通の世の中に戻ったようで、呼吸が楽になりました。
あまりにも非常識な政府のやり方がまかり通っている中、いくら何でもこのくらいは常識的なことを言ってほしいです。
でも諫早の開門にしても一票の格差にしても、今の政府は司法を平気で無視しますからね、結局はこの判決も、私たち世論が支えなければ、また踏みにじられるんでしょう。ブルトーザーが進んで行く野っぱらの、野鳥の卵のように大事に守りたいです。

しかし、その親友と私が電話で言いあったのは、「自衛隊の飛行機の飛行が夜間禁止っていうから、7時から10時までぐらいかと思ってたら」「10時から朝の5時だとお!?」「今まで飛んでたんかい、そんな時間に!?」ということでした。
二人のいた大学は、ベトナム戦争中に米軍ジェット機がキャンパスのすぐ上をキーンとすごい爆音で通過して、授業も何度も中断する状態だったので、あのやかましさは肌で知ってます。
「今回の判決も、米軍機は差し止めてないんだろ」「じゃ夜中に、あの音かい」と二人で憤然としました。
基地周辺の実態は、知らないことが多いですねえ。「標的の村」の映画上映会、せいぜいがんばらないと。

◇さてと、今日の「八犬伝」の授業は、八犬士中で一番カッコいいかもしれない、道節と源八をまとめて紹介してきます。ちょっともったいない気もするけど、時間がたりないんだよねー。

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カツジ猫