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キャラの木

これはもうだいぶ前に撮った写真ですけど、「昔風の庭」と私が呼んでる前庭の真ん中に立っているキナモチの木です。まるでもう、我が家のシンボルのようになっちゃいました。

二十年前に植えたときには、この半分、ちょうど枝がない幹だけの部分ぐらいしか、高さはなかったのです。

当時私はミルクとキャラメルという兄弟猫を飼っていました。二歳のときにエイズと診断されたものですから、家の中で飼うことにしました。外に行けないのがかわいそうだったので、まだちょっと壁に痕が見えますが、家に接続する床のないエクステリアみたいな建物を注文して、窓からそこに出入りできるようにしました。

登る木もほしいだろうと、適当な木を買って中に植えました。二匹はそれに登って遊んでいました。元気でいたけど、結局八歳でキャラメルが白血病で死に、田舎の母に預けたミルクも行方不明になって、猫がいなくなった私は、結局その建物を解体し、あとにはキナモチの木だけが残りました。

それから特に気にもかけずにいたし、手入れもしなかったのですが、木は勝手にどんどん伸び、しかもなかなか枝ぶりもよく、下枝もまったくないまま、立派なかたちになっています。

夏にはセミがよくとまって、ミンミンシャアシャア鳴いていますし、何年か前には、小鳥が巣をかけていました。実もなりますから、鳥たちには人気があるようです。

うれしいっちゃあ、うれしいけど、もはや私には手入れもできない。ただ見守って、見上げるだけです。キャラメルの方がよく登っていて、枝の間から私を見下ろしていたので、どうかするとまだそこにいるようで、つい「キャラの木」と呼ぶようになっています。

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カツジ猫