キューバが気になる。
◇新作4本なら安くなるDVDを借りてきていた、残りの二本、「キングコング 髑髏島の巨神」と「カストラート」、今日までに返さなくてはいけないので、ゆうべからがんばって見ていた。「キングコング」の方は妙なB級っぽさが逆に気になって、映画館で見たいと思いつつ見逃したのだが、やっぱり映画館で見るべきだったなー。骨格がしっかりしてるし、レトロな感じを出しながら、ベトナム戦争についてもしっかりとらえているし。特に米軍が企業や国家の思惑とからみあいながら、他国の侵略や環境破壊にまったくためらいなく情熱的に手を染めて行く救いのなさが、巨大生物のホラー映画に名を借りて、みごとに象徴されてるのに脱帽。
それに何だか「CG?」ととまどうような、妙に鮮やかでくっきりした画面や色彩も、俗っぽい絵本かアニメのようで、面白かった。それでいて、使う機材や武器やセットはばっちり本物らしいのがすごい。
「カストラート」も映画館で見たかった。絢爛豪華な色彩あふれる映像と、男性ソプラノのまがまがしい美しさがあいまってぞくぞくした。去勢した男性の美声に陶酔する文化の異様さをどこかで感じさせながら、本筋はものすごくまっとうで健全な人間同士の葛藤になっているのに、きわどいプレイをされながら引き戻されたような(笑)安心感と、かすかなもの足りなさがあるけど、これでいいんだと思う。
◇タイトルは別にデスパイネとモイネロがどうとかいう話ではなく(笑)、毎日新聞の夕刊に、Jアラートが鳴りっぱなしの地方では、子どもたちが「北朝鮮は悪」「やっつければいいのに」と言い出して、先生たちがどう教えるかに困っているとあったのや、いろんなツイログやブログが指摘しているように、首都圏には混乱を起こしたくないから警報も出さず、地方にそうやって、警報を出しつづけて、危機感をあおる政府のやり方が一番危険だとか思う中で、あらためて、朝鮮民主主義人民共和国がおかれてきた状況や、人々の心に思いをはせる必要を感じる、という話からはじまる。
だいたい、日本の領空でもない成層圏の宇宙空間を飛んでるミサイルを、領空侵犯扱いするのなら人工衛星だって、特に偵察衛星なんかどうなんだよとか、個人に対してごちゃごちゃ避難の指示する前に、涼しい顔して原発の再稼働とかすんなよとか、言いたいことはごまんとあるわけですが、さしあたり、「北朝鮮」と呼ばれて何か得体のしれないもののように受けとめられている国を、私たちは、もっと血肉の通った存在として見るようになれることが、一番急を要するし、大事なことと思うわけです。
あ、ちょっと洗濯物を干してくるので、すぐにまた、続けます(笑)。
◇続けます。
子どものころ私は、アメリカが、欠点のない、つるんとした二枚目みたいで、ちっとも魅力を感じなかったのですが、ベトナム戦争の泥沼化の中で、先住民や黒人に対する忌まわしい過去が注目され、いわば、汚点と傷にまみれた恥多い国のイメージに変わったとき、初めて理解でき、身近に感じ、心から愛することができるようになりました。
今でも、日本や沖縄にやってることはいろいろけしからんですが、それとは別に、私はアメリカがちゃんと好きです。たくさんの欠点や悪を抱えているからこそ。その一方ですぐれた尊敬できる部分もあるからこそ。
北朝鮮に対しては、あまり小説の舞台にもなっていないし、やっぱり基本的には得体のしれない国でした。
それが、先日の小出先生の話を聞いて以来、何だか、その姿が見えてきた気がしています。
独裁やその他の非常識な行動の数々を、アメリカと敵対しつづけるしかない状況の中で考えると、国民の心理もすごくよくわかる気がしてくる。
もともとは、あんなにおかしな国ではなかったのが、どこから今のようになって行ったのか知りたい。
そして、同じように、アメリカのいわばのど元で、存在しつづけ、生きのびつづけ、世界とアメリカに自らを受け入れさせた、キューバとの共通点や違いを確認したい。
というわけで、キューバの歴史と、朝鮮民主主義人民共和国の歴史が、とても気になりはじめているのです。