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クマと関門海峡

あわわわわ。
 このところ朝の水まきに出たついでに、ついつい、伸びすぎた枝を刈り込んだり、蔓を切り払ったり、けっこう死闘(笑)だが面白いのではまっていたら、気づけば、雑草の茂った中からもうそろそろ水仙があちこちで伸び始めている。早く笹や草をとりのけてやらないと、とんでもないことになりそう。そして、この分では同じく雑草に埋もれている表庭の一角のチューリップ畑にも、そろそろ芽が出始めているのではあるまいか。ジャスミンの垣根もちょっと始末しなきゃならないし、まったくもう、どうしよう。

せめて、そこそこ鈴なりになっている柿は、毎朝少しずつちぎっては食べしていても何とかなりそうで、九州のクマは絶滅してるらしいから、そこは急いでちぎってしまわなくても安心なのが助かると思っていた。そうしたら、しばらく前のテレビのワイドショーで、ここ数年でクマの生息地は広がりつつあると言って、目撃された地域か何かをオレンジや赤の色付き地図で示していて、何と山口県までがオレンジ色になっていて、非常にびびった。何だかだって、これまではどこかひとごとだったのかもしれないと、それも反省した。

関門海峡なんて、目と鼻の先に対岸が見える。やる気のあるクマなら絶対泳いで来ると思って私が騒いでいると、読書会の参加者が、「門司のあたりでは、ずいぶん警戒して対策も考えているようですよ」と教えて下さった。「やっぱり」と私が言うと、高齢の男性が「あそこは潮が激しいから、多分泳いでは来られませんよ」と保障してくださった。

「なるほど、源平合戦で平家が敗北したぐらいの潮流ですからね」と一同納得したが、また私が「でも、橋を渡って来ませんか、夜中とかに」と言ったら、他の人も「関門トンネルも来ようと思えば来れるのでは」と言い出した。
 高齢の男性がおっしゃるには、こうまでクマが増えた一番の原因は猟師が減ってしまったからで、昔は近くにも猟師さんが普通にいたし、獣を倒していたとのこと。たしかにプロでないと、自衛隊でも警察でも、慣れてない野獣を相手にするのなんかいやでしょうねという話も出た。

その数日前に行きつけの店で、同じ話になって、クマはとにかく木に登るから困る、垂直移動ができるからとか言い合った。私が「まだイノシシの方がいいんですかね。福岡教育大学なんて、夜は普通にイノシシがキャンパス闊歩して学生とも遭遇してるし、『イノシシ注意報』が常時掲示板に張り出されてるし、それでもう何十年も過ごしているけど、事故もけが人も出てないし」と言うと、オーナーが「このへんのイノシシはおとなしいけど、神湊(こうのみなと)あたりのイノシシはもっと荒いそうですよ」と教えてくれた。「近くの島とかにも、じゃんじゃん泳いで行くそうです。それで、行った先で繁殖するとか。中には泳ぎきれない個体もいて、死んだのが何頭か海に浮かんでいるのを漁師さんが見たという話も聞きました」だって。

イノシシはまあ食べられるしむしろ名物だが、クマは食用にはならないんだろうかという話も読書会では出て、一人がスマホで調べて、昔は食べていたそうですとのこと。
 私は最近「海が見える家」のシリーズを愛読していて、そこに猟師の免許を取る話も出てくるので、思い出して、いろいろ切実だった。

おかげで、読書会の俳句では、

 狼の水やあらして飛ぶ蛍

とか、

 目のとどくまではこなたの蛍哉(かな)

のような句の解釈が盛り上がり、昔の田舎の暮らしについても話がはずんだ。時間がないので、それはまた今度。

写真は私がだいぶ前に買ったイノシシのぬいぐるみ。実物はもっとかわいい(笑)。変にかわいくしていなくて、そこそこリアルなのが超気に入っているのだけど、干支で、これを飾れる年まで私が生きていられるかどうか、買ったときから、ずっとどきどきしている(笑)。

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カツジ猫