クマ対策
庭の柿の木に、実が鈴なりになっている。というのは大げさかな。半分ぐらいの枝に、かなりしっかり実がついている。ただし、どれも実は小さく、よその家の庭の木と比べると、半分くらいの大きさしかない。
高さはもう私の背の倍ぐらいになっているが、もともとは、私の田舎の家にあった二本の柿の木の実を、私がとって来て、食べたあとの種を埋めておいたら、ここまでになったのである。田舎の家の二本も、細くて小さかったが、古い木で、毎年たくさんの実をつけた。今どきの甘い実ではなく、あっさりした甘さだが、それがまた、よかった。
母は毎年、私に肥料を買ってこさせて、二本の木の下に埋めてやっていた。もう、その家も庭も人に買ってもらい、新しい住人の方は柿が特に好きではないらしく、私がたまに帰ると、実を全部取らせて下さった。それはうれしかったけど、きっともう、肥料ももらってないのだろうと思うと、柿の木がかわいそうで、ちょっと悲しかったりした。
いわばその跡継ぎとして、種のいくつかを庭に埋めたら、どれもそれなりに育って、特に最初に植えて育った一本は、すっかり大きくなっている。
ただし、実は甘くなかった。それこそ八年目ぐらいでやっと小さい実が去年いくつかついたのだが、かじってみたら、とびあがりそうなほど渋くて、とても食べられなかった。だから今年もあきらめていて、鮮やかな色を楽しめばいいと思っていた。
ところが、先日、熟していたひとつをもいで食べてみたら、そこそこ甘くてびっくりした。そんなこともあるのだなあ。念のため、それから何度か、あまり熟していないのも食べてみたが、それほど甘くないとは言え、決して渋くはないし、淡白な味が、田舎の家の木の血筋?を思わせてなつかしい。
まだまだ木には実がついているので、これからちびちび食べて行こうと楽しみにしている。でも、食べてしまったら、何とかして上の方を切ってしまわなくては。このまま巨木になられたら、食い意地のはった私は年甲斐もなく、上の方に登って落っこちて命取りにもなりかねない(笑)。


クマが出没する地域なら、こんなのんきなことを言ってる場合ではなく、彼らがエサ場にしないために、実をすぐとってしまうか、木を切ってしまわなくてはならないところだ。それはありがたいと感謝するが、それにしても、そのような地域の方々のことを思うと、こちらがいてもたってもいられない。普通の住民の方もだが、例えば郵便配達、新聞配達、牛乳配達、宅急便などといったお仕事の人たちは、いったいどうやって自衛しておられるのだろうか。
自衛隊の人たちや猟友会の人たちが、どうやって射撃するのかしないのかなどと、いろんな対策が議論されているようだが、私のようなド素人が、ずっと前から考えているのに、政府もマスメディアも識者もお笑いタレントのおふざけでさえも、誰もまったく口にしないのが不思議でしかたがないのだが、どうしてトラックやダンプカーや飛行機で、クマがいる山の奥に、どさどさ食料を投下しないのだろうか。あの人たちというか、クマたちが住宅地に出没するのは、要するにエサがないからで、それは今年の気候で彼らの主食のドングリだか何だかが、圧倒的な凶作で、食べ物がないって言うんでしょ。そこまで原因がはっきりしてるのなら、話は簡単じゃないですか。近寄らせないためには、人里はなれたところに、わんさとドングリでも残飯でもペットフードでも、余った食品をおいといてやったら、それですむ話なんじゃないですかねえ。
大規模なほどいいわけだが、そこまでしなくても、各自治体が、装甲車か何かを借り切って、住宅地から離れたなるべく遠くに、エサ場を作っておけば、クマはそっちに行くんじゃないでしょうか。廃棄する食品の処分場としても一石二鳥だったりして。
飛行機で空からまくとか、大規模な話になって少々金がかかるにしても、人命救助と考えたら安いものじゃないかと思うんだけど。
クマがかわいそうとか、殺すなとか言ってる人たちも、自治体に電話して困らせるぐらいなら、最近よくあるクラウドファンディングとやらで、お金集めて、そのくらいの事業を立ち上げる方が、いっそ簡単なんじゃないでしょうか。それとも誰かもう、そんなこと言ってるのかな。私の耳に入って来ないだけで。