チャスラフスカ
コロナ騒ぎで世間は静まりかえっているはずなのに、なぜかいろいろ忙しくて目まいがする。昨日はオール4区の会議に出て十名ほどの参加者だったが、いろいろと活発な議論で盛り上がった。それはまた明日書く。何しろ時間がない。九大の川平氏から送ってきた本を速攻で読みたくてたまらないのに、まだ封も切れないでいる自分が情けない。
昨日の会議でオリンピックはできそうにないという話になっていたが、本当に延期になりそうだ。いろいろあれこれ、山ほど言いたいことはあるが、さしあたり首相が五輪を「花道」にしようとしていたとかいう報道がされるのに、超ムカついている。いくら最近金まみれ利権まみれ国家主義まみれで腐っていても、一応人類の平和の祭典だろうが。それがあのアホの目には自分の花道にしか見えないのか。こんな発想や言い草を、そのまま垂れ流す報道もどうかしている。「花道」なんてことばをかげの茶飲み話ならとにかく、公式の場で言わせちゃいかんでしょ。まったく、そんな発想をおかしいとも思わないやつらは皆、花道から奈落に落ちて二度と上がって来るなって。
ムカつくというか釈然としないことは他にもあって、こんな状態のオリンピックに選手を派遣しないと言う国も出ないと言う選手もまあ当然だと思うけど、その前にしきりに言われていた、「練習できない国の選手に不公平だ」とか言う言い草は、どう考えても違和感あるなあ。これまで内乱や戦争の起こってる国から練習不足で出場せざるを得なかった選手なんて、毎回死ぬほどいくらでもいたろうが。日本選手がいくつ金メダルを取るかばっかりにうつつを抜かしているテレビ報道と世間は気づいてないのかもしれないが、そんな国っていくらでもあったはずだぞ。
めちゃくちゃ古い記憶ではチェコスロバキアが大変だった時期、女子体操のチャスラフスカが、すさまじい形相で名演技をくり広げて、政治的にチェコを弾圧してたソ連の花形のかわいいお嬢さんといった風情のクチンスカヤを迫力で負かして優勝したのなんか、どっちかというとソ連びいきで見ていた私は、複雑な思いもあって目に焼きついている。その後チャスラフスカの本を読んで、当時のチェコの情勢を知り、あの鬼気せまる表情と演技にこめられていたものを思い知らされた。彼女はたしかあの時、弾圧されて身をひそめていたか何かで、練習なんかろくにしてなかったのじゃなかったっけか。
オリンピックを中止や延期するのは、どう考えてもしかたがないと私でなくても誰でも思っているだろうが、その理由として「練習できない国の選手が気の毒」なんちゅう世迷い言だけは言ってほしくはない気がするのだよね。
猫のカツジが寝ているすきをねらっては、固まっている毛玉をはさみでちょきちょき切り取るのが私もだいぶうまくなった。やつはもちろん、怒ってかみつき、私の腕は傷だらけだ。たしか今飲んでいる血圧の薬のひとつは、血管がやわらかくなって血がとまりにくくなるので、手術などする時は飲んではいけないはずなのだが、もうそんなことはとっくに忘れてしまっていた。しかし、あまり血がとまらない風でもなく、すぐに傷口がふさがるのは、いいのか悪いのかどっちなんだろうね。
先日からちびちび気軽に読んでる本は「シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱」という日本の作者の文庫本で、ホームズが現代の美少女で、人工心臓をつけていて、「僕」と言ってしゃべる、なかなか気味悪い作品だ。でも、ホームズの翻案ものって、どんな重厚な名作でも、どっか気持ちが悪いんだよな。だから、これはこれでいい。そして原典の文脈を巧みに取り入れているあたり、原作をとても愛しているのがわかるし、今までのところでは、まったくもって、悪くない。