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ハプニング、ハプニング

◎暮もここまで押し詰まって、本当にまあ、いろんなことが起こります。
外猫で飼っている三本脚の黒猫バギイが数日前から、エサがあるのに朝晩にゃあにゃあ鳴いたりして、いったい何なんだと私は腹を立てていたのですが、昨日の朝、玄関先に座っているので、「どうしたんだよ」と抱きあげてみたら、ほっぺたに怪我をしていて、あふれた膿みがぽたぽた落ちている始末。

彼女のエサをねらって大きなオス猫が数匹来るのには閉口していたのですが、閉口しているのは私だけで、バギイはそいつらとは平和に共存していたようなのです。しかし最近、若いメス猫らしいのが来始めていて、これとは仲が悪くて、派手にけんかしていたらしく、お隣りの奥さんからも、足が悪いのにすごいけんかをしていますよと心配して教えていただいたこともあった。
一度、ほっぺたの、この場所を怪我していたこともあったので、病院に連れて行こうかと思っていたら治ったようだったので放っておいたのだが、傷が深かったのだろうか。膿みがあふれているのは結局、その位置だったし。

それで、大急ぎで動物病院に電話したら29日まで開いているとのことで、「おまえのツキも落ちてないぜ」と言い聞かせながらバギイを車で連れて行った。消毒してもらって、二週間ほど効果が持続するとかいう抗生物質を注射してもらって、治療費7000円があっさり飛んだ。自分への、ささやかなごほうびに年末にセーターの一枚でも買おうかと思っていたのだが、これでパアだな。

で、もう外においておくわけにはいかんと、大工さんたちも引き上げて、部屋も何とか都合がつくので、みかんの居た物置にバギイを置いてやり、庭の金網で囲ったキャットスペースに出られるようにしてやった。その代わり、シナモン猫とカツジ猫は外に出られなくなった。
カツジは庭を歩いているバギイを、目をまん丸くして見つめ、攻撃しようとパントマイムの壁塗りのように、ガラス戸を手で押さえ、体当たりして出ようとし、だめだとわかると、八つ当たりで、ベッドに寝ているシナモンにのしかかって、攻撃をかけた。(笑)

これじゃしょうがないと、私は寝室と居間の間の格子戸を閉めて、シナモンとカツジも隔離した。それぞれ、ベッドやこたつやトイレやエサや水はあるので、立派に快適なはずだが、またカツジがぐれてはいけないので、夜はこたつで目いっぱい彼とつきあい、その代わり寝る時はシナモンとだけ寝ることにした。
何だか、こうしていると、あれだ、いつぞやテレビで見たサンデル教授の講義で、最大多数の人を幸福にするのにはどうするか、という命題を思い出す。この場合、バギイの状況はもちろん改善されているわけだが、その分のしわよせを、シナモンとカツジのどちらにどれだけ負担させたら公平になるのか、皆が最低の譲歩で納得し満足できるのは、どの線か、とか。

幸い、一夜すぎたが、三匹ともにトイレもきちんとして、おとなしく現状に満足している・・・いや、していないかもしれないが、一応無事にすんでいる。
もっともカツジは少し元気がなく、心なしかいつもより神妙にしている。「おまえは何も悪くないのよ。諸般の事情だから気にしないでいいの」と私は言い聞かせて、刺身のかけらなどわけてやっている。
残念なのは、やつはこうやって、少ししおれている時が一番いい子で、絶好調で彼的に幸福なときははっきり言って悪魔のように悪い子になってしまうことだ。かみつくやら、シナモンを攻撃するやら、暴君と化す。「己の欲するところにしたがって矩を越えず」という、孔子の理想的境地は実際に達成困難なものだよなと、こいつを見ていると実感する。

◎それで今日はいよいよ年末だし、彼らの名を入れている私のお墓に行ってみた。裏の文字にもちゃんと白い色を入れてくれていてカッコよくなっていた。これでカツジの名を入れてもらった改修は完成なので、追加料金の二万円を払って、またお金がなくなった。まあ、これは秋から予定していたのでいいが。
年の暮だからか、たくさんの家族が墓参りに来ていて、どの墓にも花が飾られ、陽射しの下で、山の斜面の墓地全体が、きれいだった。私の墓は私の死後無縁仏状態になることを見越して、花活けも線香立てもないので、とりあえず、墓全体を雑巾で乾拭きして帰ってきた。

◎今年は家の建築中だし、正月は何もしないつもりでいたが、ついそばとかお屠蘇とか買ってしまった。ハムなどもブロックで安く出ているのがありがたい。
友人から「新居に飾って」ともらった正月の花のアレンジを、工事中の家(と言ってもかなりしあがっていて、カギもかかるので)の中の棚に飾った。ひっそりと、無人の家の中で、なかなかきれいである。
ぎゃー、しかし年賀状を書いていないどころか印刷もすんでいない。何人かの方にお歳暮も差し上げ忘れている。知らんぞもう。
まあ、あと一日、がんばってみよう。ふう。

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カツジ猫