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バックとソーントン

あーもうどうせ今夜は仕事になりそうにないから、無駄話を続けちゃる。
「侍の名のもとに」の映画を見に行ったら、予告編でまた、「野性の呼び声」が登場した。まあここしばらく見せられるだろう。
私はハリソン・フォードは嫌いじゃない、むしろ好きな俳優なんだけど、前にも書いたように、この映画のこの役をやるには、やっぱり年をとりすぎているよなあ。

私はこのごろ、しょうもない時間つぶしの趣味は金も時間もないことだし、極力制限しようと思うあまり、結局、地元の野球チームホークスのファンサイトと、海外ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」のDVDばかり見ている。要するにそれ以外の何かを見ると、いもづる式にどんどん関心が広がって仕事のさまたげになるから、それ以外のものは、専門の研究書と資料しか見ないと心がけているのだ。

それでどうなるかと言うと、その二つにやたら詳しくなる結果、いろんなキャラクターを説明するのに、その二つの中からしか例が引けなくなってしまう。さらにその二つがときどき合体すると、ホークスの若手三人組(甲斐野、周東、高橋礼)の中での高橋礼は、「セックス・アンド・ザ・シティ」の中では雰囲気的にシャーロット枠だろうなという定義などがとっさに浮かんでしまう(他の二人がサマンサとミランダというわけではない)。我ながら実に不毛だ。

「野性の呼び声」の主人公は犬のバックで、脇役兼人間の主人公はその飼主のソーントンだ。彼は金鉱掘りだし、どう考えても若者だ。「セックス・アンド・ザ・シティ」で言うとエイダン・ショウがはまりすぎて面白くないほどはまりすぎだし、ホークスの選手で言うと、内川や松田や柳田のキャラではなく、中村晃か上林誠知だろう。そう言うと中村と上林とエイダンが似ているのかというと、そういうことではないが、まあ共通する感じはわかる人にはわかるだろう。

ソーントンとはそういう感じの男だろうと私は思って来た。まあそう言うとハリソン・フォードもその流れではあるのだが、やっぱりあまりに高齢過ぎる。
しかし私はソーントンはそれほど熱を上げて肩入れしていたわけではないので、まだ余裕を持っていられるが、犬のバックはかなり好きだったので、いくら何でも映画の写真とはちがいすぎるのがショックだ。どう考えても、あれはバックになりようがない。あんな垂れ耳のまだら犬がそりを引いて、しかも前任者の犬を倒して地位を奪ってリーダーになれるか?
バックは育ちはいいが、邪悪な面も具えている。どうせあの映画の様子じゃ最後は原作と似ても似つかないハッピーエンドにするだろうから、こう書いてもネタばれにはならないと思って書くが、最後はオオカミになる犬だぞバックは。あんな垂れ耳のまだら犬がオオカミになれるわけないだろうが、どう考えても。だいたい身体が小さすぎる。

バックは人間社会にいた分、人間を知っていて、その賢さと野性の血を合わせ持ち、他の犬にはない悪賢さも発揮するし、闘争心や野心も冷静な判断力もある。だから人間に心を許したり、従ったりすることはない。ソーントンと会う前に、郵便配達のそりを引いていたときの雇い主との関係も仕事仲間風で、私はその様子もすごく好きだった。

そのバックが、ソーントンには全身全霊で激しい愛情を注ぐのが感動的なのだ。あの映画の犬には、そういう誇り高さも荒々しさも孤独も激しさもまったく感じられない。そのへんのアパートの庭先で骨をかじっていそうな犬じゃないか。

まあ私は犬のイメージではいつも裏切られるからなあ。その昔のTVアニメの「フランダースの犬」のパトラッシュだって、私はもっと高貴なスマートな感じの犬とずっと思っていたのに、アニメのはでぶでぶ肥っためがねみたいな模様のある、どんくさそうな犬だったから、今でもあれをパトラッシュとは思えない。

これだけ悪口言ってても多分見には行くんだろう。あまりにイメージがちがいすぎていると、かえってショックじゃないかもしれない。少なくともあの映画で、小説もまた文庫本の新刊が出るのだろうから、それだけはちょっとうれしい。ジャック・ロンドンの小説は、「野性の呼び声」とセットみたいな「白い牙」も好きだった。「動物と文学」の中に長い引用をしているので、よろしかったら、ごらん下さい。一番最後に出て来るので、そこまで飛ばして下さいね。

あー、それにしても、あの映画の犬の顔が目に残って夢に出そうで、何か腹立つ。ネットで犬の画像でも探そうかしら。猫とちがって実物は手近にいないから。

そう言えば猫のカツジは、胸の奥深くの毛玉を私が押さえつけてはさみでじょきじょき切ったので、怒り狂って大騒ぎしたが、わりとすぐ落ちついてチュールを食べて、今は隣の椅子で寝ている。そろそろブログにも登場させようかな。

写真は私の昔いた部屋。ここで子どものころに、バックやソーントンといっしょに暮らす空想なんかしてました。

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カツジ猫