ポンプ騒動
よくもこう毎日、いろんなことが起こるもんだわ。
ゆうべは夜ふかしして仕事をしていた。眠くなって、もう限界と思ったから、寝る前に歯をみがこうと洗面所に行ったら、水がちょろちょろしか出ない。今にも止まりそうだった。
これは何かが起こっているなと、月もないまっくらな中、外のポンプを見に行った。どこかで水を使っているときの、ごうごうと吸い上げる音がしていて、でもどうやら空回りしている風情。
ポンプの電源を切って呼び水をするしかないようだが、あたりは暗いし、もちろん業者に電話もできる時間ではない。とりあえず近くの部屋の電灯をつけて、窓から流れ出す光でポンプのカバーを開けて様子を見た。使用説明書のパンフレットが機械の間につめこんであるが、もう何十年も前につけたままのポンプだから、説明書も穴だらけしみだらけで、開いてみても、ろくに読めない。
そもそもいつも頼む業者に、この前修理を頼んだとき、そろそろ寿命で買い替えた方がいいかという話になり、まあしばらくこれで使ってみて、いよいよだめになったら新しくしましょうということになっていた。
この年末近くで物入りの中、数万円もするポンプを買わなきゃならんかと落ちこんだが、それより当座の状況を、何とかしなくてはならない。
窓から流れ出すおぼろな光で、穴だらけの説明書をにらみ、とにかくいったん電源を切ってリセットボタンを押して再稼働させたら、不気味にうなってまた稼働しはじめ、気のせいか、水を吸い上げてる気配もした。家の中に入って蛇口をひねると、あらうれしや、ほとばしるように、水もお湯もちゃんと出るようになってた。
しかし、水をとめてしばらく待っても、ポンプの音がとまらない。どこかでまだ水が出ているか、他のどこかがどうかなっているってことだ。
もしかして、朝の水まきの後で水栓をしめ忘れたかと思った。それでもホースの手元でとめておけるから、流れ出しっぱなしになることはないはずだがと思いつつ、ひょっとして一日じゅう水が出ていたのかとぞっとしながら、これまた、まっくらな闇の中、藪をぬって裏庭に行き、水栓をたしかめたら、果たして閉まっていなかった。
ホースの先を調べるのは後回しにして、とにかく水栓を閉め、ポンプのところに戻ったら、しばらくして、稼働はとまり音はやみ、どうやらすべて正常に復した。この間、多分、小一時間。本当は朝になったら映画でも見に行く予定だったのだが、それどころではないと、ひと眠りすることにした。
夜が明けて、ポンプと蛇口を調べたが、どこもまともで異常はなかった。水をまこうと奥庭の水栓を開けたら、何とポンプの中途から、勢いよく水がほとばしっている。ポンプの手元はちゃんと閉まっていたのだが、中途の連結部分がはずれていたのだ。そこから水がもれつづけていたことになる。
多分、水栓が開けっ放しになっていて、ホースの出口でとめられていた水の圧力が、夜中に連結部分をはずしたらしい。そう言えば、夜の早い時間に洗い物をしたときは、どうということはなかったから、多分、水がもれていたのは、長くても数時間、もっとずっと短かったかもしれない。
とにかく、ゆるんで外れていた連結部分をつなぎ直して締め直したら、これまた何事もなく旧に復して、水まきもちゃんとできた。睡眠不足も今日、昼寝をしたら解消したみたい。幸い今日は涼しくて、家の中までそよそよと風が通り、エアコンもつけないままですんだ。
もちろん、ポンプを買い替える必要もなく、多分数万円が浮いた。そうなると、このごろ行きつけのお店で見つけた、巨大なハロウィンのかぼちゃの置物(三千円ぐらい)が買えるなあと、またしても、非常にろくでもないことを考えてしまう。
あれー、こんなバカな話がこんなに長くなろうとは。他に書くこともいろいろあったが、明日に回して、今夜はここまで。写真は、何だか突然中庭のはしっこに一本だけ出現した、植えた覚えも何もない、多分テッポウユリです。
