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マイセン人形

参政党が気にくわない理由なんて、晴れた夜空の星の数か浜辺の砂の数ほどもありますが、一番しょうもないと思うのが、出たとこ勝負の口から出まかせ言いまくって、すぐ取り消して、それも、その場でそこにいる相手にとりあえず気に入られるようなことだけ言うんですよね。ほんとに、前後の見境もなく。

ここだけの話、せめて逆だったら、つまりその場の周囲や相手に気に入られないようなことばかり言って、かげじゃその反対のことを言ったりしたりするキャラだったら、私けっこう好きなんですけどね(笑)。右翼の前では左翼になり、左翼の中では右翼になる、みたいな。だけど、逆なんだもん、まるっきり。

最近じゃ代表はじめ何人かが、被爆地に行って式典に参加したり現地を見たりしてるから、何を言うのかどう反応するかと思っていたら、ぬけっとしらっと、被爆者に同情し、平和を祈るみたいな、無難を通り越して、すげえなあんた、どの面下げてみたいなメッセージを残してる。メディアがどうせこれしか報道しないんだったら、多くの人は、候補者が「核武装は安上がりなんです」とか言ってるあの政党とは気づかないだろう。

それがねらいで、それで平気なんだろうか、この政党は。私だったら被爆の地で、被爆者に向かって、核武装の必要性や安全性をちゃんと説くことから、自分の主張をはじめたいし、そうでなかったら、生きてるのも政治家やってるのも、ちっとも楽しくないけどなー。

以前は維新がそんなとこあって、まあ参政党ほど底抜けの嘘つきじゃなかったけど、あれにイライラしたり、それなりに慣れて来てもいたから、そこはひょっとしたら今回は「あ、またあれか」みたいな感じで理解が早くて助かったかもしれないな、しょうもない慰めだけど。

大昔、ジュニア小説書いて、ときどき掲載してもらってたころ、そこの出版社の編集者の方に、雑談の中で「最近の作家の若い人は、『なんか書くことないですかねー』と聞いて来る」とうかがって、えーっと驚いた。私は書くことや、書きたくないけど書かなくちゃと思うことばっかりだったから(それをどう、ひと目にかくして書いたらいいかと思ってたから)。そうしたら編集者は言い直して、「いや、つまり、読者に受けて売れるような、書くことが何かないかということだ」と説明した。

これまた私はコペルニクス的展開で目が回った。そもそも私は小説書くにしろ論文書くにしろ生きるにしろ愛するにしろ、相手や周囲に快いこと、気に入られることをすると同時に自分の好みや考えを伝えて、知らせて、ぶつけあって、何かを作るかまとめるかするのでなければ、自分も相手も、存在する意味はないと思っていた。それはめんどうで疲れるから、できれば一人でいたかった。

わざわざ作家や政治家になろうとするなら、よっぽど何か自分の中に譲れない、他人にわかってほしい、相手の考えも知りたい、というようなものがあるはずで、それもないのに、まずは相手や周囲にうけいれてもらえそうな、気に入ってもらえそうなことをさがして、差し出して、人気や票を得ようとすること自体、悪い冗談としか思えなかったんだよね。

参政党の姿勢や発想は、すべてがその点で異様なまでに肥大化した奇怪なかたちの生き物に見える。そういう傾向や要素は、むろん誰にでも幾分かはあるものだけど、「その場で相手の気に入られる」「他の点で首尾一貫してなくても、その場だけに通用すればいい」という一点に特化し先鋭化している点では、他の追随を許さない(ほめてません。笑)。

もちろん、いろんな人が言うように、これは詐欺師の手口だが、私の茶坊主パソコンが、こちらの傾向や好みを観察して迎合して、気に入りそうな記事や映像ばっかりを選択して送りつけて来て、よその世界はどうなっているかなど全然見せてくれないのともそっくりで、そういう意味では最高にAIもどきの最新システムっぽいとも言える。

私のパソコンの茶坊主ぶりは知悉しているから、まだかわいいとこもあるし、こちらもそれなりにあやつれるが、あの茶坊主集団は何とかしないと、ほんとにどんなものになるかわからんぞ。

久しぶりにテレビの高校野球をチラ見したら、去年か春にもひょっとして同じことを書いたか知らないが、ものすごく走塁や盗塁を駆使する高校が増えていて驚いた。プロ野球での俊足選手たちの活躍が華々しいから、その影響が現れているのだとしか思えない。でも、そうやって見ていると、超わがままな感想を言うと、あの種のプレーは本当に天才的で華やかな選手がずばぬけたプレーをするのが目と心を楽しませるので、そこそこのことを皆がちまちまやりはじめると、見ていて落ち着かずイライラカリカリしてしまうってこともあるのだと、あらためて変なことにも気がついた(笑)。そういう点ではホークスの周東選手などは、やはりかなり特殊な存在なのかもしれない。ファンや監督がマイセン人形みたいに大切に扱うのもそう考えれば無理はない。

そして今日の多分第一試合は、解説の方がものすごく話し方がきれいで歯切れもいいので、アナウンサーと区別がつかず、ときどきプレーを評するコメントが、何でアナウンサーのくせにそんなに偉そうなんやと思っていたら解説者で、あらーとのけぞってしまったりした。いったいどなただったんだろう。

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カツジ猫