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マッチ売りの少女。

◇寒さが厳しい。陽が照っていても、外に出ると空気は冷蔵庫の中のように冷たい。
上の家の猫たちは二匹とも、今のところ一応無事に暮らしている。

◇上の家をあちこち片づけていると、しんしんと寒さが身体にしみて来て、指先もつま先も痛くなる。仏壇に線香をあげるのに、ろうそくをつけるのだが、このろうそくがまた、めちゃくちゃ古いのが何本かずつ、がらくたの中から現れて、私を妙に喜ばせる。
ありあわせの燭台をかきあつめて、古くなって溶けかけて、ぐにゃりとゆがみかけたようなのも、立てて灯して見ると、何本も並んだ炎がとても美しくて豪勢だ。その内これが服やカーテンに燃え移って、あえない最期を遂げては恥だから、ちょっとながめては、すぐに消している。

昨日うっかり線香を取り忘れて、ろうそくの上から手をのばして取ろうとしたら、びっくりするほどの熱気が来た。驚いて手をかざして見ると、炎の上は相当に熱い。マッチ売りの少女がマッチで暖をとったのもうなずける。それなりに少しは暖かだったのだろうと、あらためて思ったりした。

◇下の家のエアコンも24度か23度に低く設定しているのだが、腕のいい大工さんが建てた、気密性の高い家のせいか、それでも充分暖かい。
それなのにカツジ猫は、立派な毛皮を着ているくせに、何の文句があるのか、さっきからにゃおにゃお言ってやって来る。もう今朝から、おやつもチュールもかつぶしもあげただろうが、え、カツジ。緑色に目を光らせて、何をエイリアン風に訴えているんだよ。

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カツジ猫