メルティス刑事
ああ、こんなこと書き出したら、また仕事の予定が狂うんだけどなー。
「サンチャゴに雨が降る」続きで。
ちなみに、私がリンクした予告編で、軍隊に対抗して床に銃持って伏せて射撃してる人たち、多分、現職の閣僚たちです。大統領とともに、自分たちの政府をクーデターから守ろうとして最後まで戦った大臣たち。あの頃、日本で政権とってたの誰だったかもう忘れましたが、日本だったらとぼんやり思ったような気がする。追いつめられた彼らが、大統領以下、タオルで覆面して硝煙の中、ゆらゆらと階段の上から現れるスローモーションの場面も、目に焼きついて離れません。
政府を支持しようとする学生も市民も労働組合員も軍人も、それぞれの場所で粛清され、死を迎えます。初めの方で、軍隊の中の一室で、一人ずつ兵士が面接され、思想信条が異なると判断された者は、そのまま銃殺の処分になる展開も息がつまりました。
大臣の一人ブコヴィッチを演じるのは、「さらば友よ」で、アラン・ドロンとチャールス・ブロンソンの友情にからむ、刑事メルティスを演じた俳優さんです。「さらば友よ」でもいい役で、この映画も好きでしたから、「サンチャゴに雨が降る」で登場したとき、なつかしくて、うれしくて、誇らしくて。この映画、チリのクーデターに抗議して、フランスやブルガリアの映画人たちが、協力して作った映画なんですよね。すぐ翌年かに公開された。
でも、この映画を私が大好きなのは、そんなに急いで作られたのに、ちっとも雑じゃないし、大ざっぱなスローガンやアピールを全面に出してもいないところ。むしろシャープでお洒落で、カッコいい。そしてメルティスさんもだけど、外国のジャーナリストを演じる俳優さんが、たとえばホテルの外の銃声に、ぱっと振り向くシーンなんかも、その顔や動作がすべて、きゃっと言いたくなるほど、何でもないけど美しい。さすがもう、フランス映画、ヨーロッパ映画と、つい思わせる。
いかん、こりゃ、まだ続くかもな(笑)。