モノの命
昨夜はなぜかひどく疲れて、今朝もシナモンとベッドで寝こけていたら、どこかで猫が悲しそうに甘えた声で、いつまでもみゅうみゅうと鳴いている。
まさかカツジじゃないだろうと思いながら、起きて行ってみると、自分のへやで、椅子の上に立ち上がり、椅子の背に前足をかけて、寝室の方を向いて鳴いていた。私の姿は見えないはずなのに、居る方向はわかるのだろう。
抱いてなぐさめてやると、盛大にぐるぐる言って落ちついた。
実は昨日エイズワクチンの二回目の接種をしに病院に連れて行ったせいか、何だかきげんが悪く、私の相手もせず庭に出て行ったり、ひどくはないけどちょっとかんだりして、ふてくされていて、床に初めておしっこもしていて、そろそろ反抗の第二段階か?と思いながら、おしっこをお湯とワックスで徹底的にふきあげて、どうするか見ていたのだが、昨夜も今日も一応ちゃんとトイレを使っていて安心した。
前に去勢手術をしたあとも、おしっこをトイレ以外にして飼い主さんを怒らせたようで、やはり体調が悪いとどこかが狂ってくるのかもしれない。かわいそうに。
だんだん庭がお気に召してきたようで、おいてあるプラスチックの踏み台の上などに寝そべっていたりする。まあ、涼しいんだろうしな。
シナモンはあいかわらずベッドがお気に入りで、そこからはなれない。夜は書斎で私の横の椅子に寝ている。
ちまたは夏休みらしいが、大学は8月の第一週まで授業だ。これでまた、どっかのまぬけが、大学の先生は夏休みでヒマなんでしょとか抜かしたら、お盆でひらいた地獄の釜の中にけりこんでやりたい。
それでなくてもこの夏休み、全力投球で仕事(自分の研究)をしないといけないというのに。こっちも先回りするくせがついてるので考えてしまうが、そうすると「でも、ご自分の好きなことをしてお金になるからいいですねえ」とかいうやつが絶対いるんだよな、またこれが。
「ええ、それだけの努力と犠牲は私もはらってきましたからね。その上にうまれつき家柄もよくて金もあって優秀だったもんですから(全部ウソですよ)。くやしかったらマネするか、しょせんあなたとは住む世界がちがうとあきらめて、身分不相応なうらやましがり方をするのはやめませんか、おたがい不幸になるばっかりだし」とかいう、本心でもない事実でもない暴言を、どうでもこうでも何とかして、私に吐かせたいのかと言いたくなる。
ま~、こんなこと口に出して言ってくれる人はまだいい方で、黙って内心思ってる人はもっとずっと多いんだろうけど。
でも、私は他人のそういう金とか仕事とか時間とか家庭とか、自分にひきくらべたり、うらやましいと感じたりしたこと、多分もう生まれて一度もないんだけどなあ。どうやったら、そんな風にとっさに思えるのか、知りたいよ。
逆に、ひょっとしたら、私がそうして、くらべもうらやましがりもしないことで、ものたりなかったり、侮辱されたような気になったりするやつも、きっと、そこそこいたんだろうなあ。
ところで、崖の工事は思ったより安く見積もって下さって、もう本当にほっとしています。
これで、機種がかわって買い換えが必要だった携帯も何とか新しいのが買えそうです。
じゅうばこさん
たしかにねえ。
私は以前、雨の町でひろった、小さなクマのストラップの、それも片足もげてるやつを、キーホルダーにして使っています。分別ゴミの瀬戸物の箱にほうりこんであったシャム猫の小さいおきもの(コップのふちとかにひっかけるやつ)も、つい拾って棚においてます。
ものが、これだけたくさん作られ、売られていると、そのどれもが愛されることなんて不可能なんでしょうが、そういうこと考えるだけで、何やらめまいがしますよね。